ブラジルでは新型コロナは予防接種進展で感染者や死者が減少傾向にあるが、新型コロナ以外の原因による重症急性呼吸器症候群(SARS)が増加傾向にある。
オズワルド・クルス財団(Fiocruz)や保健省統計でのSARSは新型コロナによる疾患と、インフルエンザなどによる疾患の双方を含んでいる。
11月から予防接種キャンペーンを始めたリオ市では、12月に入ってからのSARSの死者33人中、インフルエンザによる死者が17人で、新型コロナによる死者を上回る状態になっている。
11月は新型コロナによる死者147人、インフルエンザによる死者4人だったから、新型コロナの予防接種効果とインフルエンザ患者急増が明らかだ。
リオ市で流行っているインフルエンザウイルスは、「ダーウィン」と呼ばれるH3N2型の新変異株だ。
今年の全国予防接種キャンペーン用ワクチンはH3N2型だが、コロナ禍で風邪の予防接種率が落ちた上に新変異株が入ってきた事や、コロナ禍が落ち着き始めて人出が増え、マスク着用や手洗いなどの習慣も疎かになった事などが、ダーウィン株の感染者急増を招いているようだ。
だが、新型コロナの方も予断を許さない。それはオミクロン株による感染者が増え、市中感染も確認されているからだ。
オミクロン株による市中感染が確認されているのはサンパウロ市で、17日に判明した、22歳と65歳の女性、30歳の男性の3人は、外国への渡航歴も外国からの旅行者・帰国者との接触歴もない。
サンパウロ市では20日も4人のオミクロン株感染が判明し、感染者が17人になった。サンパウロ州では他市でも同株感染者が3人おり、計20人となった。
他方、コロナ禍の観察機関「オブセルヴァトリオCovid―19」によると、サンパウロ大都市圏ではここ7日間の呼吸器疾患による入院者数が1163人から1757人へと、51%増えている。
入院者の増加傾向は12月に入って続いており、オミクロン株によるコロナ感染症者増加、インフルエンザ感染者増加、両者による増加のいずれかは確定できていない。
サンパウロ州政府は20日、オミクロン株による感染者とインフルエンザの患者が増加している事を考慮し、屋内外を問わず、マスク着用義務を1月末日まで延長すると発表した。
なお、18日現在のインフルエンザの患者急増は9州で、少なくともリオ、バイア、パラナの3州では死者も出ている。
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