イタペミリン・グループが経営難に陥り、同グループの航空部門イタペミリン・トランスポルテ・アエレオス(ITA)が17日夜、突然運航を停止した。クリスマス直前の前触れさえない運航停止で多くの利用者が影響を受けており、同社の経営再建を楽観視していた連邦政府の監督責任を問う声があがっている。18~21日付現地紙、サイトが報じている。
17日夜のイタペミリンが行った発表では、運航停止は「内部編成のための一時的なもの」だというが、実際には年内の便が全てキャンセルされた。これにより、すでに便を予約していた4万5千人に影響が出た。客室乗務員たちも直前まで知らず、機内で「運航中止」とのアナウンスを聞いた乗客までいた。
同社は陸運部門の「ヴィアソン・イタペミリン」は通常通り運行すると発表しており、バスでの移動も提案しているが、21日午前中までに払い戻しや他の航空便に振り返られた人は2万5千人のみで、混乱は収まっていない。同社には1100万レアルの罰金が科される見込みだ。
ITAの運航停止の背景には、同グループが以前から直面していた財政難がある。陸運部門は2016年から民事再生手続きに入っており、株主に対する負債は2億5300万レアル、税制上の負債も22億レアル抱えている。「ヴィアソン・イタペミリン」は昨年、保有車両の40%を売却。同社が運営するバス路線も、半分余りをヴィアソン・カイサラ社に受け渡している。
そんな経営難にも関わらず、同社は今年6月にITAを創業した。本体とは異なる別会社として登記したために、登録上は負債なしの優良企業になっていたという。
イタペミリン・グループは昨年、パイロットや技師など600人もの専門職を採用していた。だが、ITAは早々に運用資金難から社員給与や手当て、燃料などの供給会社への支払いなどの遅れが起きており、今回は運航停止に陥った。
昨年10月にはボルソナロ大統領がネットの生放送でタルシジオ・デ・フレイタス・インフラ相と共にイタペミリンの再建の話題に触れ、同社の航空部門開設と陸運部門の営業継続のための投資をほめたたえるかの話を行っていた。
だが、ITAは開設から半年で職員に対する給与や手当て、勤続期間保障基金(FGTS)の支払いに遅れが生じはじめ、今月からは保健プランの支払いが止まっていた。
こうしたことから、「イタペミリンの操業停止は連邦政府の監督不行き届きでは」と批判する声が上がっている。
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