《サンパウロ市》風邪様症状の患者が急増=保健所に長蛇の列、医師増員=ほぼ流行状態が10州に拡大

サンパウロ市のUBSカンブシにできた長蛇の列(Foto: Paulo Pinto/Fotos Publicas)

 【既報関連】リオ市を皮切りにH3N2型インフルエンザの患者が急増中で、サンパウロ市では呼吸器系疾患の患者が保健所などで長蛇の列をなしていると21、22日付伯字紙、サイトが報じた。
 サンパウロ市では風邪様の症状を訴えて診察を受けた人が12月前半だけで9万2千人いた。この数は11月全体の診察数より82%多く、今後は5日毎に倍増と見る専門家もいる。
 呼吸器系疾患の患者は市内全域で増えており、保健所(UBS)や救急診療所(UPA)などに老若男女が列をなしている。
 同市市役所では呼吸器系疾患の患者対応用のテントを設置し、重症者はブラジランジアの病院に入院させる事を決めた。
 また、医師や看護師280人の採用を承認し、統一医療保健システム(SUS)向けに、感冒薬や鎮痛解熱剤などの医薬品1億5千万回分も手配した。
 呼吸器系疾患の患者急増は私立の医療機関でも同様で、シリオ・リバネス病院ではここ数日間で患者が倍増。オズワルド・クルス病院でも救急外来患者が前月の倍になったが、A型インフルエンザが大半で、新型コロナ患者は1・5%だ。

長時間待たされて眠ってしまった患者(21日付フォーリャ紙電子版の記事の一部)

 日伯友好病院でも20日は呼吸器系疾患患者518人に対応。1月は1日平均150人だった。ここでも患者の大半は新型コロナの検査では陰性で、風邪かインフルエンザ感染者だ。同病院では待合室を広げ、受付の窓口も増設。医師は25%、看護師も50%増員して対応している。
 ただ、現在流行中のインフルエンザ「ダーウィン」はまだ対応ワクチンがないため、市保健局では予防接種キャンペーンの前倒し実施は考えていない。
 H3N2型患者の急増はサンパウロ市以外の市でも同様で、朝6時にUPAに着いたが診察は11時、処置を受けてUPAを出たのは15時という例もざらだ。
 サンパウロ州の今年(今月10日まで)の急性重症呼吸器症候群(SARS)患者は665人、死者は50人だが、H3N2による死者数は不明だ。サンパウロ市では同株の死者は出ていない。
 22日付現地紙によると、H3N2患者急増で流行かそれに近い状態になっている州は10となり、リオ、エスピリトサント、ペルナンブコ、パラナ、アラゴアスの5州で死者が出ているという。

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