サンタカタリーナ州西部シャンシェレ市在住の画家、ヴァルジール・リベイロ氏が20日、妻の闘病費を稼ぐための「くじ(rifa)」の抽選会を行い、当選者に賞品の車を渡そうとしたところ、当選者が車を本人に返却したと22日付G1サイトなどが報じた。
20日に抽選が行われたくじは、2018年に骨盤がんと大腸がんとの診断を受けたマリゼッテ・テレジーニャ・ドス・サントス・リベイロ氏の闘病費を捻出するため、数カ月前から呼びかけられていたものだ。
ヴァルジール氏夫妻は夫が稼いだお金で暮らしてきた。だが妻の闘病は、シャペコー市の病院での診察や化学療法、放射線療法と、薬局で買う薬を併用する必要があり、通院費や薬代などを捻出するのに苦労していた。
そこで考え付いたのが、車を賞品としてくじを行う事だった。夫妻の現状や闘病で経費がかかる事などを知る友人達がくじを買ってくれて得たのは5千レアルで、20日の抽選会と賞品の受け渡し式の様子はSNSで公開された。
だが、当選者は賞品の受け渡し式の場で、「僕がくじを買ったのは賞品を本人に返すためだった」と説明し、車をそのままヴァルジール氏に返却した。
予期せぬ出来事に驚いたヴァルジール氏はその直後、「車を渡す準備はできていたのに、そのまま戻ってきた。安堵感と喜びが押し寄せて来たよ。僕のクリスマスと新年のプレゼントはもう僕の手の中にあるんだ」と興奮気味に語っている。
賞品の車(1987年製の黒のシェヴェッテ)は、ヴァルジール氏が仕事や妻の送り迎えに使っていたものだ。当選者のヴィニシウス・モラエス氏は、「どうして彼(ヴァルジール氏)がくじをやろうとしたかや、どんなところを通ってきたかを知っているからね。車は要らないから、返すよ」と語った。