新型コロナのワクチン接種の進展で感染者や死者が減少し、観光業を含む諸分野で経済活動も活性化かと思われていた最中、ブラジルでは年末に複数のクルーズ船でのコロナ感染が確認され、懸念が広がっている。
3日付現地紙、サイトによると、国家衛生監督庁(Anvisa)が観察中のクルーズ船は5隻だ。年末に複数のクルーズ船で新型コロナの患者発生が確認された事で、同庁は12月31日、クルーズ船の活動を一時的に停止することを保健省に進言している。
Anvisaが観察中のクルーズ船の一つはサンパウロ州サントス港に停泊中で、12月31日に運航停止を命じられたMSCスプレンジダ号だ。同庁は2日付の文書で、MSC社には1日に同日の乗客搭乗中止と乗客への周知徹底を要請した事を明らかにした。
同号の警戒レベルは2日、船舶の検疫、運航禁止が必要な4に引き上げられた。
バイア州サルバドールに寄港したコスタ・ジアデマ号は12月30日に運航停止が命じられ、翌日から動きを止めている。同号は感染が確認された乗客と現地在住者を降ろした後、最終目的地のサントスに向かい、残りの乗客を降ろす。
2日朝、リオ港に着き、3千人以上を降ろしたMSCプレジオザ号は、船員2人を含む28人の感染が判明している。感染者は無症状または軽症で、感染者と濃厚接触者は下船後の隔離が必要だが、感染者と接触していない人は隔離も不要だ。
同号の警戒レベルは3で、新たな乗客の搭乗や航行が認められており、2日も搭乗者の列ができていた。
コスタ・ファシノーザとMSCシーサイドも警戒レベル3で、現在も航行が認められているが、状況が変われば、新たな乗客の搭乗や航行の禁止が命じられる可能性がある。
クルーズ船の乗員や乗客にはワクチン接種が義務付けられているのに、計300人とも言われる数の感染者が出た事は、オミクロン株の感染力の強さや同株による感染速度を明示している。Anvisaはブラジル海岸部を航行するクルーズ船の監視をより強化する方針で、乗船時の衛生基準が遵守されていたかの確認も行う予定だ。