【新年創刊特別号】関係諸国との相互理解と交流促進に貢献=一般社団法人 ラテンアメリカ協会 会長=佐々木幹夫

佐々木幹夫会長

 新年明けましておめでとうございます。
 この度、『ブラジル日報』が創刊され、「新春特別号」が発刊される運びとなりましたことを心よりお祝い申し上げます。
 海外最大の日系社会を誇るブラジルにおいて、邦字紙は1908年に日本人移住が始まって以来、言葉も現地事情も分からない初期移民にとり異文化のなかで「目であり、耳であった」と言われる通り、日系社会の長い歴史の中で貴重な役割を果たしてきました。
 しかしながら、日本語が読める移住者・日系人の減少等もあり、ただ一紙残っていた邦字日刊紙『ニッケイ新聞』がパンデミックの中で昨年末をもって廃刊すると伺い、大変寂しく残念に思っておりました。
 そのような中、昨年10月サンパウロで、新聞事業を通じてブラジルにおける日本文化の普及を行う非営利団体「ブラジル日報協会」が、日系諸団体の全面的なサポートを得て発足し、本年1月から邦字紙「ブラジル日報」(週5回)、ポルトガル語紙「Jornal Nippon」(週1回)を紙媒体とインターネットで発刊することになったことは、この上なく喜ばしいことです。
 「ブラジルから邦字紙の灯を消してはいけない」との思いを共有し尽力された関係者の皆様に、一般社団法人ラテンアメリカ協会を代表して衷心より敬意を表したいと思います。
 ラテンアメリカ協会は、1958年(昭和33年)、吉田茂首相を名誉会長、足立正日本商工会議所会頭を会長として発足し、外務省の認可法人として、ブラジルを含むラテンアメリカ諸国との外交、貿易、投資、移住、文化等の分野の関係と交流の促進をその目的として活動してきました。
 2013年からは一般社団法人として、設立趣旨を引き継ぎながら、時代の変化に合わせ、①ラテンアメリカに関する情報の集積と発信、②ラテンアメリカ情勢等の研究と提言、③出会いと交流の場の提供を事業の柱として、ウェブサイト(https://latin-america.jp/)の充実、最新のラテンアメリカの動向を扱った情報誌『ラテンアメリカ時報』(年4回)の発行、講演会・セミナーの開催、海外のシンクタンクや在外日本商工会議所との連携などを行っています。
 このような活動を通じて、日本とブラジルをはじめとするラテンアメリカ諸国との相互理解と交流の促進に今後とも貢献していきたいと考えております。ブラジルや日系社会に関する情報の交流においては、『ブラジル日報』と手を携えて協力し合えることを期待しています。
 ブラジルは、今後の発展が期待される世界有数の食糧・資源大国であり工業国です。海外で最大の日系社会があり、農業、製鉄、造船、パルプ等の分野で大規模な日伯協力プロジェクトが実施されてきた、日本にとって縁の深い国です。この度の『ブラジル日報』の発刊により、現代のブラジルの息吹が、日系社会はもとより、我々のいる日本にも伝わり、日伯関係が益々深化し発展することを期待するとともに、『ブラジル日報』が末永く発展されますことを心から祈念申し上げます。

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