【新年創刊特別号】SDGsの序文(Preamble)=ブラジル日本商工会議所  会頭 村田 俊典

村田俊典(としふみ)会頭

 新年あけましておめでとうございます。
 新しい年を迎えるにあたり、ブラジル日本商工会議所を代表してご挨拶を申し上げます。
 2000年代に入ってから21年、インターネットの劇的な発達で社会が一変、我々日系社会では世代の交代が進み、購読者の激減と相まって、コロニアの財産的存在でもあった最後の邦字紙「ニッケイ新聞」も閉刊に追い込まれました。しかし、その後身といえる「ブラジル日報」がタイムリーに目出度く誕生、又ブラジル独立200周年を祝う年初に創刊、心よりお喜び申し上げます。
 今年はコロナとの戦いも3年目を迎えますが、世界では大きな変化も出て来ています。その一つに昨年11月に開催されたCOP26に代表される脱炭素(カーボンニュートラル)に向けた動きがあります。多くの日本企業でもそれに向けた準備が始まっています。2022年はその動きがさらに加速してゆく事になると思います。
 新しい社会の在り方が議論されている中、私たちは企業レベルでそれぞれの役割を果たしてゆく事になりますが、一人一人が立ち止まってそのアクションの根底にあるもの、その未来にあるものを見つめ直す必要があります。
 その点からも、2015年の国連総会で採択されたSDGsアジェンダの「序文(Preamble)」は、私たちが企業人として行動を起こす前に胸に刻んでおきたいメッセージだと思います。短い文章ですから一度皆さんも読んで頂きたいと思いますが、主に以下の事が書かれています。
 人間と地球の繁栄のための行動計画であり、その持続可能な世界を築くため、あらゆる貧困を無くす事を課題として認める。すべての国と人々が協力して人々を貧困から解き放ち、地球を守ることを決意し、今すぐ大胆な変化をもたらす行動を起こすこと。そのジャーニーには誰一人取り残さない事を誓うこと。
 ブラジルでの取り組みを見ていると、ある時は民間企業が国家をリードしながら必要なアクションを取っているケースが見られますし、日系団体の取り組みなどは貧困をなくすために個人レベルで行動を起こしている事もよくあります。先ほどのPreambleをまさによく理解して行動を起こしているように感じます。
 私たちが、カーボンニュートラルをテーマにビジネス(業務)を考える上で、ただそれだけではSDGsの一項目や企業方針の一部をやっているに過ぎません。一人一人が地球としての問題点を認識してどのような未来を目指すのかの共通認識が必要だと思います。2022年はより多くの人がこのPreambleを共有して一歩一歩進んで行けたら良いと思います。

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