新年創刊特別号から創刊となったブラジル日報。この機会に「新たらしい新聞に期待する事」や「過去の新聞で面白かった記事」「新聞に関する思い出」などを、読者や文芸欄関係者を中心に取材した。
■浅井義弘さん(熊本県、85歳)
文芸は日本の文化なので、特に文芸欄には続いて欲しい。私自身、今は詩作をしていないが、楽しみのひとつ。昔のニッケイ紙に掲載されていた広橋勝造さんの50年ぶりに日本に行った体験談が面白かったです。
邦字紙は移住してから50年以上頼りにしています。田舎から出聖して手探り状態の時、バブル期の日本にデカセギに行った時も邦字紙の求人広告で見つけたんですよ。
■伊那宏さん(長野県、79歳)ぶらじる俳檀選者
新聞の使命などと今更申し上げることでもないのですが、先行きいくばくもない移住者社会にとって、勿論内外の日々のニュースがいちばん大事ですが、そうした中にも、できれば心のよりどころとなる記事にめぐり会えることを望みたいところです。
特に女性が圧倒的に多い私たち老齢者社会の現状を考えますと、男性向け女性向けの硬軟取り混ぜた記事のバランスは必然と言えるでしょう。
さらには日系、非日系、進出企業の皆さん等を抱き込んでのバランスよい紙面作りとなると、それはもう並大抵の業ではありません。ですが、それを重々承知の上であえて申し上げれば、「ブラジル日報」がどのような方向性を示して下さるか期待しつつ、意義ある面白い記事を読者としては漁りつづけて参りたいと思っております。
■小濃芳子さん(大阪、88歳)ぶらじる歌壇選者
一世にとって邦字紙は心の支えです。なくなると困ってしまいます。これまで新聞紙の経営は大変ななか、これから益々大変になっていくかと思います。古くて新しい事をやって欲しいです。歴史があるから新しい事ができると思います。
リベルダーデ区に黒人墓地があったとか、カペラ・ドス・アフリットス礼拝堂の話はとても興味深く読みました。自身の住む町の古い歴史について知れると嬉しいですね。
■加藤仁紀さん(東京所在・日伯連帯研究所 ONG Trabras代表)
現編集体制(深沢体制)の後継体制作り(育成)が急務。邦字新聞の主たる購読者の一つは在伯等駐在員とそのOBと思われるが、高品質な現行ニッケイ新聞の編集が今後も継続できるかが懸念される。
なお、日伯連携・連帯の観点から在日ブラジル人(デカセギ)等との連携も視野に入れた編集が望ましい。ブラジルを忘れつつあるデカセギも購読者(WEB版)になれる様な編集を期待したい。
なお、過去に在日デカセギ新聞「Tudo Bem」、「IPC」が存在したが両紙とも大分以前に印刷版が廃刊。IPCはweb版(IPCワールド)のみ存続していると思われる。また、別に求人誌(Alternativa)が存在している。それらの媒体との連携も検討されてはいかが?
■小斎棹子さん(北海道、85歳、ぶらじる俳檀選者)
「最後の邦字紙」と言われていたニッケイ新聞の廃刊を聞いて、いかに身を削ってやっていてくれていたかを感じました。私たち移民1世を道連れに歩んでくれたと思います。
邦字紙のブラジル国内の翻訳記事を頼りにしていました。政治のことなど新聞で知ったことが、子供たちの会話にも出てきて相槌が打つ事ができ助かっていました。
■滝友梨香さん(高知県、81歳、塔サンパウロ支部歌会)
邦字新聞なくなってしまったらとても寂しいです。こころの拠り所として、邦字新聞のひとつはあってほしい想いがあります。
沖縄県人移民のサントス事件など、52年ブラジルに住んでいて知らなかった話を新聞で知る事もありました。歴史を知る事や次世代に伝える事は大事なので、そういった記事が有ると良いと思います。
■松岡岩雄さん(東京都、78歳)
新しい新聞に求めることの1番は5年10年続くこと。1世などの日本語が読める世代は減っていきますけどね、続くのが大事。新聞としては早くて正確な情報をお願いしたいです。
また、知人が三重県で働いているので日本の在日ブラジル人の現状など知れると嬉しいです。日本のTVや新聞はあまり取り上げないものなので、CIATEや知人が主な情報源です。