聖南西教育研究会(渡辺久洋会長)主催の第28回林間学校が、昨年12月13日午前9時から午後6時までピラール・ド・スル文化体育協会敷地内で開催された。同イベントはコロナ禍の中で2年ぶりに開催。地元ピラール・ド・スルをはじめ、ソロカバ、レジストロ、ピエダーデ、コロニア・ピニャール、サンミゲル・アルカンジョの6つの日本語学校の生徒34人(12~17歳)が参加し、マスク着用、アルコール消毒などの感染対策を行なったうえで交流を深めた。
午前9時からの開会式では、ピラール・ド・スル文化体育協会の阿部勇吉副会長に続いて、聖南西教育研究会の渡辺会長があいさつした。2年ぶりに再会した生徒の成長を喜んだうえで、通常は3日間におよぶ林間学校が今年は1日のみの実施になったことを説明。「多くの地域で対面授業や学校交流行事が行われない状況下で、1日であっても開催できたことはとても恵まれている。生徒の参加を可能にした林間実行委員、各校の日本語教師や父兄、医療従事者への感謝の気持ちを忘れず心の片隅に置いておくように」と述べ、「いつもとは違う林間学校を、いい思い出として残るように楽しんでください」と激励した。
参加者が互いに打ち解けあうためのアイスブレイク後に、赤、青、黄、緑の4チームに生徒は分けられた。午前はポート・ボールの試合をグラウンドと体育館に分かれて行なった。コロナ禍でほとんど運動をしていない生徒もいるため、事前にストレッチなどの準備運動を徹底。少しずつ負荷を高め、酸欠や体調不良を起こさないよう生徒への十分な配慮をしながら実施された。
試合を見守っていたコロニア・ピニャール日本語モデル校教師の西田みどりさん(65、福井県出身)によると、同校では今年3月からのオンライン授業を経て、同5月に対面式授業を再開した。「今日(12月13日)は地元のブラジル学校でもイベントがあり、どちらの行事に参加するか迷う生徒もいましたが、林間には3人が来てくれました。来年は通常通りに戻ってほしい」と期待していた。
昼食後は会館内で「目は口ほどに物を言う」という諺(ことわざ)にちなみ、目だけで気持ちを伝えるゲームを実施。「飛んでいる蚊を見つけたときの目」「落ちている100万ドルを見つけたときの目」など、24の状況場面を生徒たちが代わる代わる目で伝え、クイズ形式でチームごとに勝敗を競い合った。
様々な場面での「ありがとう」「大丈夫」の一言を言い方と表情だけで表し、その場面を当てるクイズも行われ、会場は笑い声で包まれた。
引き続き、大豆を割り箸でつまんで数えたり、各チーム全員で「祭」の漢字を一画ずつ書いて仕上げるなど、敷地内の5カ所での各種作業の早さを競うオリエンテーリングも行われた。
ピラール日本語学校に通い、林間学校は2年ぶり2回目の参加だという中村ゆかりさん(14、3世)は、「(目で気持ちを伝える)ゲームが一番面白かった」と率直な感想を語る。助手として参加し、スポーツ活動をはじめ行事進行の補助をしていた小田りゅうたさん(18、3世)は「林間学校はいつも楽しく、他の地域から生徒が来てくれたことが嬉しい」と笑顔を見せていた。
チョコレートの交換会(アミーゴ・セクレット)後、午後4時半からはメインイベントのキャンプファイヤー。まだ明るい日差しの中、「マイムマイム」「松本ボンボン」を踊った生徒たちは、火を囲んだ輪の中で打ち解け合っていた。最後に今年の林間学校のテーマソング「炎(ほむら)」を歌い、全員で記念写真におさまった。
閉校式では、この日の総合結果が発表され、優勝したチームにはトロフィーと副賞として「2021年林間学校 優勝」の文字が入ったオリジナルマスクが授与された。閉会後も、ピラール文体協「母の会」が用意したカフェをとりながら楽しそうに話し笑う姿が見られ、参加した生徒たちは新たな仲間ができ、楽しい林間学校となったようだ。