最初に断っておくが、コラム子はコロナウイルスに対する隔離政策にもワクチンにも積極的に賛成派だ。だが、ことオミクロン株に関しは、やや疑問を感じているところがある。
たしかに、「感染スピード」や「ワクチンの効きにくさ」に関しては頻繁に報じられている通りで、イギリスやデンマークなどの流行国の感染グラフでも過去最高の感染者を記録はしている。
だが、最初に感染の報告があった南アフリカでは死者も出ず、「もうピークは越えた」との報道が昨年末には行われていた。南アフリカだけではない。同じく最初に発症例が確認されたボツワナや香港といった国でその後に感染が爆発したという話は聞かない。
オミクロンに関しては「オミクロン・トラッカー」というサイトで全世界のこれまでの経過を知ることが可能だ。今これを書いているブラジリア時間の4日午後5時現在の記録で、感染者の発生国141カ国中、死者を記録したのは8カ国。感染者は全世界に48万9247人を記録しているが死者は合計で111人。死亡率は0・02%にしか過ぎない。
「まだ変異するかもしれないじゃないか」「重症率は低くても感染者数が増えれば同じだ」との反論があるのもわかる。だが、この死亡率、さらに入院率の低さが変わらなければ、よほど突然のひどい変異を起こさない限り、ワクチンがなかった頃やデルタ株ほどの猛威を振るうことは考え難い。
日本政府は「オミクロン株は従来の変異株のように肺を攻撃しないため重症化し難い」との動物実験を元にした世界的権威による実験結果が入ってきた後、これまでの対策を緩めることを発表した。
同時に、それまではオミクロン感染者を全員入院させていたと聞いて驚いた。100人に1人入院するかしないかの症状なのに、即全員入院させられたら、それだけで医療破壊が起こってしまうはず。他国の状況は確認していなかったのか。
ブラジルの場合は、他国に比べてオミクロンの拡大スピードが遅かったこと、マルセロ・ケイロガ保健相が大げさな騒ぎ方をしなかったこと、死者が出ていないことなどでそこまでの騒ぎにはなっていない。むしろ、インフルエンザとコロナが併発する「フルロナ」の方が恐れられている。
ただ、クリスマスや、来月にはカーニバルもあるが、国民もそこまで浮かれている感じも、少なくともコラム子は感じない。世界第2位の死者数を出した後で「伯人は愚かだから犠牲者を出してきたのだ」との自制も、割と社会浸透している印象がある。幸い、3回目のワクチン接種もこれからが対象時期の人も多い。接種でしっかり予防を願いたい。(陽)