「TV文協は5回目でプロジェクトの目標としていた総再生数1万人に到達しました。現在も日に日にふえています」――ブラジル日本文化福祉協会(文協、石川レナト会長)の竹花パトリシア広報担当理事(3世、38歳)はそう説明した。
『TV文協(TV Bunkyo)』は文協ユーチューブチャンネル『Bunkyo Digital』で、11月5日から始まったプロジェクトだ。JICA助成金で実施している文化プロジェクトのひとつ。
第1回目には『酒』、続いて『茶道』『いけ花』『漫画』などの日本文化をポルトガル語の解説動画で紹介していく。毎週金曜日、3月18日まで更新される全20回シリーズの番組だ。
同シリーズでは、ユーチューブ等のSNS上で活動するマヤラ・フジカケさん、サンパウロ市ラジオ局アナウンサー等を務めるロベルタ・チエポさん、宣伝広告のナレーションなどの仕事をしているリカルド・サンさんが番の司会を務める。
番組は外部の番組製作のプロに依頼しており、竹花さんは動画ごとのテーマ決めや統括を担う。製作会社のプロデューサーとの会議を行い、番組構成を決定して作ってきたという。
全体構成は歴史紹介から始まり、ブラジル内の関係者出演、一般人の声の紹介で締めくくられる。例えば第3回目の「いけ花」にはブラジル国内にあるいけ花流派の代表者や、枝物を生産する吉岡パトリシオさん、日系陶芸家のキミ・ニイさんなど様々な関係者が出演している。
一般人の声の紹介では「いけ花」の回にはメトロのリベルダーデ駅に展示されているいけ花について駅利用客に取材する等の形で収録している。
竹花さんは「シリーズ20回の公開が終ったあとに視聴者の声を調査して、今後の継続にむけて参考にしていきたい」といきごみを語る。
「文協TV自体は新しい事業でなく、既存事業に進化を加えたものです」と中島剛エドワルド事務局長は説明する。文協の「Bunkyo Digital」は07年に開設し、09年に着伯した大部一秋総領事の歓迎動画を「文協TV」として公開した。
文協では現在、TV文協や昨年11月に開設された文協バーチャル美術館などのプロジェクトを行う『文化』に加え、『施設』『福祉』の3部門でJICAから助成金を得て各プロジェクトを実施している。
『施設』部門では資金が足りず進められなかった施設内のバリアフリー化を進めている。『福祉』部門では文協内でデイサービス実施を昨年10月からはじめているという。
TV文協のシリーズ動画は文協ユーチューブチャンネルの再生リスト(https://www.youtube.com/watch?v=1Zfl2D3QP54&list=PLoH0wFnTpBLvq2zKWA2Zq1llQ4JIlvoUc)からも再生できる。