ブエノスで45度超?!肌身で感じる気候変動

氷が溶けてむき出しとなった大地(Arquivo/Agencia Brasil)
氷が溶けてむき出しとなった大地(Arquivo/Agencia Brasil)

 昨年11月のバイア州とミナス州での水害以降、ブラジルでは大雨の被害が絶えない。年末年始はトカンチンス、マラニョン、ピアウイ、リオ、サンパウロ州などでも集中豪雨や土砂崩れなどが続いている。
 水害は毎年繰り返されるが、今年は例年以上に広範囲で被害が出ているようだ。また、気候変動で台風などの被害が甚大化するという説を実証するかの映像も多数流れ、人的被害も増えている。
 他方、南部3州と南麻州では干ばつで、農産物にも被害が出ている。中西部と南東部、パラナ州は昨年も少雨や干ばつに悩まされたが、現在はアルゼンチンやウルグアイ、パラグアイを巻き込んだ熱波のため、南大河とサンタカタリーナでも40度前後の猛暑に襲われる可能性がある。農業への影響や水不足も深刻化しそうだ。
 南米中央部での熱波は11日にブエノスアイレスで大停電も引き起こした。115年間で最も暑い日が4日目となり、40度超の暑さに耐えかねた人達が一斉にエアコンなどを使い、電力供給が間に合わなかったのだ。
 アルゼンチンでは45~47度、ウルグアイでも41~43度に達し、南大河では平年の気温を10~15度上回るとの予測は、伯国でも同様の事態が起こり得る事を示す。
 11日は気候変動による海水温上昇の報道もあったが、海水温上昇は世界中で起きており、年々深刻化。海水温上昇による海水膨張と気温上昇による極地の氷などの溶解は、海面上昇や小さな島の水没などを招く。海岸部の侵食や家屋倒壊は伯国でも起きている。
 気温上昇は豪雨や干ばつだけでなく、土砂崩れなどによる土地の侵食や農地喪失、農産物減産、植生の変化なども招く。
 先般のミナス州カピトリオの岩壁倒壊や、昨年起きた北大河州ピッパ海岸の岩壁の崩壊も、雨や高温で生じた岩のひびが遠因といえるし、海水温上昇は漁業にも影響を与える。
 木や竹を切り倒して開発した山肌に建てた家が、雨を含み、岩盤上を滑落した土砂で押し流され、大破するのは、自然破壊が自然災害を増幅した例だ。
 悪い事に、地球温暖化は長年かけて行ってきた森林伐採や焼畑、化石燃料多用などで蓄積した温室効果ガスが原因で、一朝一夕で解決できない。海水温上昇もまた然りだ。人類は、文明、発展の代償としての気候変動に苦しんでいるといえる。
 伯国内で繰り返される水害や干ばつは、気候変動の影響のほんの一端に過ぎない。過去の事例に学び、行動を変えないと、真綿で首を絞める状態が続く事を心に留めたい。(み)

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