国家衛生監督庁(Anvisa)が12日、抗生物質が効かない超真菌「カンジダ・アウリス」の感染者が見つかったと発表した。
同日付アジェンシア・ブラジルなどによると、超真菌に感染していたのは、ペルナンブコ州レシフェ市の病院に入院していた患者で、菌を特定したのはバイア州ゴンサロ・モニスの病理研究所だ。
カンジダ・アウリスは2005年に東京で発見され、2009年に日本から報告された新しい真菌だ。真菌そのものは人間の皮膚や体内に存在するが、免疫機能が低下していると感染しやすく、敗血症や髄膜炎などの全身症状を引き起こす。
抗生物質や清掃用品などへの多剤耐性があり、シーツやベッドの手すり、ドア、医療器具などに付着して長時間(数カ月に及ぶ例もある)生存するため、院内感染で広がりやすい。
免疫力が低下している人や基礎疾患がある人は重症化しやすく、致死率は30%以上とされているため、新型コロナなどで医療現場に大きな負担がかかっている中では、患者と医療従事者の双方にとって新たな脅威となり得る。
Anvisaが発表した症例は国内では3例目で、感染患者が入院した病院では、安全基準(プロトコル)の実施など、拡散を防ぎ、対抗するための措置が講じられている。
ペルナンブコ州感染予防・管理センターも、この病院を訪問し、院内対策の実態を確認。Anvisaも、新たな感染を防ぐため、経過観察や必要な対策の検討などを行っている。
ブラジルでの最初の症例は2020年12月にバイア州で確認された。感染者は59歳の男性で、Anvisaでは、最初の症例が報告された後、「この超真菌は世界的な脅威となり得る」と警告する文書を出している。
なお、バイア州ではサルバドール市の病院に入院していた88歳の患者の尿からも超真菌が検出されていた。
13日には、11日に超真菌への感染者が確認された病院で、4人目となる症例も確認されており、Anvisaが「アウトブレイク(感染症の突発的発生)に相当する」という判断を下したという。