ブラジルが生んだ最大の女性歌手とも形容されるエリス・レジーナが19日に没後40周年を迎えることを記念し、三つの大きな企画が進行中と、16日付現地サイトが報じている。
エリス・レジーナは20歳だった1965年に、当時、一世を風靡した音楽コンテスト番組「ムジカ・ポプラール・ブラジレイロ(MPB)」の第1回大会で優勝して以来、ブラジル音楽界最高の人気スターとなった。彼女は間もなく、「ボサノバの女王」として国外に紹介されたが、華奢な身体から放たれる豪快な歌唱法はやがてボサノバの域を超え、前述番組出身で世代の近いカエターノ・ヴェローゾやジルベルト・ジル、シコ・ブアルキなどと共に、「MPB」の名でブラジルの音楽を世界に広める存在となった。
だが、依然として高い人気のただ中にあった1982年1月19日、コカインの過剰摂取に伴う心停止で、36歳の若さでこの世を去っている。
その後も2012年にローリング・ストーン誌が、「ブラジル史上最高の女性歌手」にエリスを選び、2016年には伝記映画「エリス」が公開されるなど、いまだに高い人気を誇るが、没後40周年の今年後半から来年にかけては、彼女に関する大きな企画が進んでいる。
そのうちの二つはドキュメンタリーで、一つは「エリス・ポル・ジョアン」という、息子ジョアン・マルセロ・ボスコリ氏を通して見たエリスの歴史だ。これはケーブルテレビの国際大手HBOが放映権を持ち、ブラジルのみならず、ベルギー、フランス、ドイツ、ポルトガル、メキシコでも放送されるという。
もう一つのドキュメンタリーは、1974年に出た、彼女の最高傑作アルバムとの呼び声高い、ボサノバの大家アントニオ・カルロス・ジョビンとの共演盤「エリス・エ・トム」の裏側を追ったものだ。
三つ目の企画は米国で活躍するブラジル人漫画家グスターヴォ・ドゥアルテによるエリスを主人公にした漫画で、来年初頭に発表される予定だという。