オミクロン株による新型コロナの感染者急増で、家族間感染が増えている。コロナ禍初期は外出機会の多い若者が感染して親や子供にうつす例が多かった。ワクチン接種が進展した昨今は、未接種の子供が感染して家族にうつす例が増えているという。
他方、自治体ではオミクロン株発見後、ロックダウンのような極端な規制の採用を控える例が増えた。欧州などではロックダウンも実施されたが、ブラジルでは、経済活動を止めないようにとの配慮から、一部規制の強化に留まったところが多い。コロナ・ゼロを掲げる中国が都市の再封鎖を行い、世界中で物品不足の懸念が広がった事を考えれば無理もない。
オミクロン株が発見された当時、同株の感染は既に相当広がっており、水際対策は手遅れだったという。また、感染力が強く、発症までの期間が短い。軽症者や無症状者が多いため、市中感染が急速に増え、対策も後手に回りがちだった。
インフルエンザとの同時流行も問題だ。医療機関でも感染者増に伴う防疫措置や人手不足で、活動制限や閉鎖が起きている。
コロナ禍第1波の時は、従業員感染で一時的に操業を止めた工場などが出た。今回も支店を閉鎖する銀行などが急増中だ。娘の職場でも感染者が出、つい最近対面勤務を再開したばかりなのにまた在宅勤務に戻った。家族揃って感染し、欠勤を強いられた知人もいる。
スペイン風邪流行時の米国では、行事開催を優先した市では感染者や死者が急増し、経済回復も遅れたが、感染抑制を優先した市では感染者や死者が少なく、経済回復も早かったという。
ウイルス撲滅や経済活動の完全停止は無理だが、ウイルスとの共生を前提とした感染対策やハイテクを利用した対応は可能なはず。オミクロン株感染者は急増後に急減するというから、重症化や医療崩壊を回避するための対策が不可欠だ。
ブラジルではカーニバルを中止した自治体も多く、それを批判する人もいるが、嵐が収まるまで今少し我慢し、予防接種やマスク着用などの対策継続で回復の時を待つ事が、命や健康、経済を救う早道ではなかろうか。 (み)