かつてのブラジルサッカー界のスター、ロビーニョ。彼が2013年にイタリアで起こした集団強姦容疑の判決が実刑9年で確定した。イタリアでの事件判決ということで、ブラジルの外に出ない限り逮捕されないことにはなる。だが、それで罪状が消えるわけではない。加えて、極めて恥ずべき卑猥かつ卑しい証拠も残ってしまった。これでは逮捕されてなくても人々から後ろ指を指され続ける人生を送らなければならなくなる。
思えばロビーニョは選手としてもキャリア後半からはずっと期待を裏切り続けてきた。2002年、ブラジルが日韓W杯を制したその年、ロビーニョは18歳でサントスでデビュー。21歳エラーノ、17歳ジエゴと組んだ攻撃トリオで一躍センセーションを巻き起こし、低迷していたサントスに全国選手権での栄冠をもたらし、「もう次のブラジルのスターは決まった」と未来を嘱望された。実際、頭文字にちなんで「Rの系譜」として、リバウド、ロナウド、ロナウジーニョの後継者として期待されたほどだった。
その期待を胸に2005年にはレアル・マドリッドに入団し、W杯にも2006、10年と出場した。だが、この頃から活躍にムラがあり、「Rの先輩」たちのような安定感には欠けていた。
そして、2014年のブラジル開催のW杯の時には30歳で、本来ならウィングのレギュラーとしてチームをけん引する立場にあるべきだったが、世代の近かったカカーやアドリアーノ同様、早期に衰えが目立ち、ここで代表落ち。これがゆえに伯国は戦力が薄くなり、当時まだ21歳だったネイマールに高い期待をかけざるを得ない状況に追い込まれた。ロビーニョたちが参加できていれば、あのドイツ戦での屈辱の敗退も避けられていたかもしれない。
一般的に、実績を残せなかったスポーツ選手に対して「期待はずれだ」と批判することは、その原因が不運な怪我によるものであることもあるので軽々には行えない。だが、ロビーニョの場合は彼の普段の言動から「素行の悪さ」や「不熱心さ」が成績不振の原因であると多くの人が見なしている。その上、それらを象徴するものとしてこの最大の不祥事までがついてきてしまった。こうなってしまっては「何のための出世だったのか」「早熟がゆえに社会人としての常識が育っていなかった」と責められても仕方がない。
ブラジルからはこれからも多くの「早熟なサッカーの天才」が輩出されるだろう。彼らにはロビーニョを他山の石として、サッカーの技術だけでなく、人格的な成長に関してもより多くの関心を持ってもらいたい。(陽)