昨年、缶ビール生産50周年を迎えたブラジル国内で現在、コロナ禍の影響による家庭内での缶ビール消費が伸びている。その結果、飲料用アルミ缶全体の生産量も増加している。
ブラジルアルミ缶製造協会(Abralatas)によると、2021年から23年にかけて55億レアルが投資され、クラウン・エンバラージェン社(Crown Embalagens)など国内で4つの大手アルミ缶製造工場が新たに建設される予定だ。同協会では15年~20年に国内でクラフトビールを中心とした新しい醸造所が増えていることにも目を付けており、缶ビール製品のさらなる需要を見越している。
ブラジルでは1971年に国内初のブリキ製缶ビールが生産されており、89年にアルミ缶工場が建設されて以降、冷えたビールを長時間保存できる軽量のアルミ缶が使用されるようになった。Abralatasなどによると、ブラジルの飲料用アルミ缶の総生産量は年間320億缶に上るという。一方、20年度の缶ビール消費量は196億缶と、前年比で16%増加。パンデミックでレストランなどの飲食店が営業規制を受けたことで、自宅で手軽に飲める缶ビールの消費量が増大した。
ブラジルでは現在、缶飲料生産全体の約6割を占めるビールをはじめ、清涼飲料水等のソフトドリンク、ジュース、ワインや水など350mlの普通サイズを中心に、220mlから710mlまでの13種類のアルミ缶が生産されている。缶のサイズの好みは地域によって違うようで、例えばリオ州やペルナンブコ州では550mlのロング缶が好まれ、バイア州では269mlのスリム缶が人気だという。
また、ブラジルはアルミ缶生産量の97%にあたる年間40万トンが再利用されており、世界でもトップクラスのアルミ缶リサイクル国となっている。
サンパウロ市内に住む50代の日本人男性は「コロナ禍で外で飲む機会が減り、スーパーで手頃な缶ビールを買ってきて、自宅で飲むことが多くなった」と話している。