【パラー州ベレン市発】パラー州で新型コロナウイルス・オミクロン株の感染者が急増している。同地日系社会では、汎アマゾニア日伯協会が例年300人近くの参加する新年会を中止するなど、感染拡大に対して一段と警戒を強めている。
パラー熟年クラブでは16日に通常総会を開催したが、感染リスクの高い高齢者が出席を辞退したため、例年120人ほどの出席者が、今年は60人のみとなった。なお、同総会では後藤孝司氏の新会長選任が行われた。
北伯一の日系集団地であるトメアスー(ベレンから200km)地方でも、昨年末から新型コロナやインフルエンザへの感染者が急増している。
トメアスー農業振興文化協会(柴田シルビオ会長)では、協会広場を利用して毎月開催している日本食屋台市を中止。柴田会長は「今後の協会活動はコロナ禍の状況を見ながら判断していく」と話している。
JICAブラジル事務所の江口雅之所長と片岡龍之介所員が、日系団体実情調査のため、17日にベレン、18日にトメアスー等を訪問した。帰聖後、江口所長の新型コロナ感染が確認された。江口所長と濃厚接触したベレン、トメアスーの各日系団体役員らはPCR検査を行い、いずれも陰性だった。
また、トメアスー文協の柴田会長はその後に新型コロナに感染。現在は自宅療養中だが、熱もなく食欲もあり順調に回復している。
州内の累計感染者数は現在、約64万人で、死亡者は1万7千人。年代別では、30代の感染者が14万5千人と一番多く、次いで40代の12万人となっている。若い世代への感染も増えてきており、20代層が11万人と3番目となっている。3回目のワクチン接種を終えている高齢者の感染者は少なく、70代、80代を合わせても約2万人となっている。
ただし、高齢者は感染した場合の死亡率が高く、年代別死亡率では70代が1位となっている。10日には、3度のワクチン接種を済ませた73歳の地方在住日系女性が新型コロナで亡くなっており、日系社会では、「ワクチン接種だけでは安心できない事が証明された」とあらためて警戒心が高まっている。
また、症状の似たインフルエンザの同時流行が始まったことで、市内のPCR検査センターや検査を実施している薬局には、朝から検査の順番を待つ長い列ができている。
ベレンでの新型コロナウイルスへの対応は、レストランや映画館など人の密集する場所への入場の際にワクチン接種証明書の提示が求められている程度。イベントの実施については、個人や団体の判断に任され、開催の中止や出席者を限定しての実施など対応に腐心している。