5~11歳児への新型コロナワクチンの接種は、14日にサンパウロ州政府が行ったキャンペーンで接種を受けた先住民のダヴィ君以降、日増しに加速している。
ボルソナロ大統領は「子供が重症化して死んだなんて聞いた事があるか?」との表現で子供への接種の必要性を否定。必要もない子供達に接種を受けさせようとしたとして、国家衛生監督庁(Anvisa)の了見を疑う発言も行った。
大統領はその後もオミクロン株出現を歓迎するかの表現を行い、世界保健機関から批判された。
コロナバックの子供への適用に関するAnvisaの会議では、アントニオ・トレス理事長が「意図的な誤報拡散は犯罪行為」との表現で、根拠もなく「パンデミックはもう終わる」とか「ワクチンは危険」、「治験中のワクチンを子供に接種させようとしている」などという虚報、誤報の拡散を批判した。
同理事長は大統領の友人とされ、大人へのワクチン適用に関する会議でも、ワクチン承認には反対すると見られていた。
だが、安全性確認のための資料提出などは求めたが、接種の必要性や有効性は認め、大統領を失望させた。子供へのワクチン使用承認後の批判に反論された大統領は、「指名するんじゃなかった」との発言も行った。
子供が新型コロナに感染すると大人とは異なる症状や後遺症が出得る事は比較的早い時期から言われていた。また、保健省統計でも5~11歳児が300人以上死亡しており、オミクロン株出現後は子供の入院者増加とも報じられている。
対面授業開始前に子供達への接種をと願う自治体の長や父兄、子供達とは裏腹に、大統領は子供への接種に反対し、保健省は公開協議開催を決定。
最高裁は、大統領やケイロガ保健相が子供への接種開始を遅らせた事に関する捜査要請を検察庁に転送した。ワクチン承認から接種開始までの3週間に感染したり入院したりした子供や家族、それを知った関係者の心中を思うと胸が痛む。
他方、接種を受けた子供や親達が時に涙まで流しつつ、「嬉しい」「ほっとした」「特別な贈り物」と語る姿に安堵する。接種後に「(亡くなった)お父さんと二人分」とか「おじいちゃんに会える」と語る子供もいた。身近な人を失い、会いたくても会えない時を過ごしてきた子供や家族が接種にかけた思いは特別だった事だろう。
様々な事情で接種を受けられない人や受けたくない人はいるが、保健相は24日も予防接種の重要性を強調。幼少期からの予防接種が多くの病気から人々を守り、重症化を避けさせてくれている事を今一度思い起こしたい。
(み)