《ブラジル》教員給与調整で地方財源が破綻?!=異例の大幅昇給に市が困惑

ジウルコスキ会長(CNM公式)

 【既報関連】ボルソナロ大統領が27日に発表した、基礎教育課程の教員に対する33・24%の給与調整に関し、市長たちが「市財政に多大な負担がかかる」として不満を表明している。27、8日付現地紙、サイトが報じている。
 教員に対する給与調整は、連邦議会の教育部門からの圧力によって実現した。決めたのは連邦政府だが、基礎教育課程の教職員に給与を払うのは市や州政府だ。財政能力を遥かに越えた高額な昇給を勝手に決められたことで、地方政府が迷惑している状態だ。
 元々は、官房長官や教育省、経済省が共に、「7・5%」を基準に考えていた給与調整を、ボルソナロ大統領は、2020年末の改定で失効した基礎教育開発維持基金(Fundeb)法が定める給与調整率の最大限に引き上げた。
 全国市町村連合(CNM)は、この調整により、教員への支払いを直接担当する市には合計350億レアルの負担がかかるとして強く抗議している。

 「連邦政府からはぴた一文も払われず、市が責任を負わされることになる」と、同連合のパウロ・ジウルコスキ会長は強い不満を示している。同会長は、「今回の件が問題なのは、それが教育の改良を目指して行われるのではなく、選挙での票が欲しいために行われることだ」と、大統領の姿勢に疑問を呈している。
 CNMは昨年、Fundeb法の上限を10・16に下げる法案を出したが、承認されなかった。ジウルコスキ会長は「ルーラ政権下で作られた法案で、記録的な昇給を自分の手柄にしようとしている」とボルソナロ氏を批判している。
 全国市長前線(FNP)も、「税収が増す見込みもほとんどない中、このような昇給をされては市の財政が持たない」と抗議を行っている。
 上院も、今回の昇給は「州と市への負担があまりに大きい」と判断。州と市が資金確保のために税収増を図ることが確実であることから、ボルソナロ大統領が目論む減税法案の審議は困難なものになると予測している。

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