「集大成」となる個展開催=陶芸家・生駒憲二郎さん

来社した生駒さん
来社した生駒さん

 陶芸家の生駒憲二郎さん(73歳、三重)が個展「Kenji Ikoma – Alma de Fogo」をサンパウロ市のブラジル日本文化福祉協会(文協)ビル2階貴賓室(R. São Joaquim, 381 – Liberdade)にて開催する。2日18時に開会式、6日まで展示。
 生駒さんはイタペセリカ・ダ・セーラ市でアトリエ兼教室を営み、文協の工芸委員会委員長などを務めてきた。「文協陶芸委員会で共同展示会は行ってきましたが、個展は久しぶり。近年手がけた新しい実験作なども多くあり、集大成とも言える個展です」という。
 展示作品は壷を中心に約40点。近年手がけた壁に掛けて絵画のように飾るオブジェや、庭に飾る全長1メートル50センチのトーテム型の陶器作品なども展示。作品販売も行われる。
 展示期間は3、4日が14~20時、5日が10~20時、6日が10~16時まで。
 生駒さんはSNSアプリ「インスタグラム」でアカウント(ikomakenjiro/@ikomakenjiro)を開設しており、普段の制作風景などを投稿している。
 個展への問合わせは生駒さん(電話=11・99932・6524)まで。

街角ちょっと見

 生駒憲二郎さんは今年で陶芸家となって49年を迎えた。
 「陶芸一本でやってきましたが90年代は特に四苦八苦したものです」
 「四苦八苦した」という90年代。生駒さんの陶芸教室があるイタペセリカ・ダ・セーラ市とサンパウロ市間で道路工事が頻繁に行われ、大渋滞が頻発。その影響で退会する生徒が続出した。
 「収入も減ってしまい、レストランをまわって作品を売ったり、バザーに出店させてもらったり、とにかく走り回っていましたね」と振り返る。
 生駒さんの作品は穴窯で焼き上げて作られる。焼き上げには大量の薪と38時間もの時間を要する。ブラジルの土は鉄分を多く含んでいるため、赤茶色になりがちで、緑色に発色するための研究も行ってきた。
 このコロナ禍では陶芸教室を開催できない期間もあったが、現在は50歳前後の元気な生徒らを中心に再開。「教室は2mの机があって人間距離も保てるし、うちはボロで風通しがとても良いからね」と困難な時勢にあってもユーモアを忘れない。
 来年には陶芸歴半世紀を迎える生駒さん。その「集大成」が観られるという個展「Kenji Ikoma – Alma de Fogo」に期待だ。

最新記事