《ブラジル》接種証明で大統領が敗北か=最高裁が今週中に審理へ=解雇可否と入国時の証明で

バローゾ最高裁判事(Nelson Jr./STF)

 新型コロナの感染再拡大で最高裁はリモート審理に戻ったが、審理再開早々、新型コロナ関連の裁判でボルソナロ大統領が敗北を喫する見込みと1月31日~2月1日付現地サイトが報じた。
 大統領が負けると見られているのは、ルイス・ロベルト・バローゾ判事が11月と12月に出した司法判断2件だ。一方は労働社会保障省の省令の一部差し止めで、もう一方は空路と陸路で入国する旅行者に接種証明提示を義務付けるものだ。
 バローゾ判事が差し止めた省令は昨年11月1日に出たもので、従業員が新型コロナの予防接種を拒んだ場合に雇用主が解雇する事などを禁じている。
 連邦政府はワクチン接種の義務化には反対で、採用時や契約時に接種証明(別名ワクチンパスポート)の提示を義務付ける事は「差別」と主張。接種や接種証明の提示を拒否する事は解雇の理由にはならないとした。
 だが、コロナ禍という特殊状況下、職場の衛生環境保持と患者や医療従事者、従業員の安全維持のために予防接種を義務付け、拒否した場合は解雇する例が起きており、労働裁判所もそれを支持する判決を出している。

 空路と陸路での入国者への接種証明提示義務は、オミクロン株出現に伴う水際作戦の必要性が高まった11月末に、国家衛生監督庁(Anvisa)が進言したものだ。
 だが、連邦政府が進言に従おうとしなかったため、政府の怠慢と訴えた政党があり、接種証明の提示を義務付ける司法判断が出た。
 バローゾ判事は入国者への接種証明提示義務化の判断を出すと同時に、最優先で全体審理にかける事を要請。現在の予想では、司法判断は二つとも大差で承認される見込みだ。
 なお、感染者発生で種々の活動に支障が出る事態は随所で起き、レストランやバールなどの施設入場時や、サンバの練習も含むイベントへの参加時にも接種証明提示を義務付ける動きが拡大。1月21日にはサッカー連盟も、選手達に接種完了を義務付けた。
 また、サンパウロ州政府は1月29日、州立校生に接種証明提出を求める意向を表明した。未接種者も授業に参加できるが、勧告から60日経ても接種を受けないと、学校が生徒や親の名前を児童相談所などに連絡する事になる。

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