1月下旬にリオ市で起きたコンゴ移民のモイゼ・カバガンベさん(24)殺害事件に関与した男性3人が、1日に逮捕された。同件は黒人差別、難民差別として国際的な問題になり始めている。1、2日付現地紙、サイトが報じている。
この事件は1月24日、同市西部の富裕区バーラ・ダ・チジュッカの海岸にあるキオスク(売店)の日雇い労働者モイゼさんが給与の支払い遅れを主人に問いただそうとしたところ、リンチに遭い、死亡したものだ。
リンチの様子は店の防犯カメラで録画されており、ネットやテレビのニュース報道で広まった。また、モイゼさんが2014年に内戦と飢えから逃れてきたコンゴ難民であったことが明らかになったことで、大きな社会問題となっていた。
リオ市警殺人課は1日、アリソン・クリスチアノ・アルヴェス・デ・オリヴェイラ容疑者、ブレンドン・アレサンデル・ルス・ダ・シルヴァ容疑者、同海岸で酒類を売っているファビオ・シウヴァ容疑者の3人を逮捕した。彼らはキオスクとは直接関係はないが、被害者を縛り上げて暴行を加えており、自衛手段を奪った上での殺害行為として扱われる。
ファビオ容疑者は逮捕時、親族宅に隠れていた。オリヴェイラ容疑者は自ら警察に出頭したが、犯行を自白する動画では、「誰も彼を殺すつもりはなかった」「(彼との間に問題があった)店長を守ろうとしただけ」と語り、反省の念がないことも伺わせている。
また、犯行現場近くの草むらからは犯行に使われた棍棒も回収された。防犯カメラの映像によると、モイゼさんは地面に倒され、縛り上げられた後も棍棒や野球のバットで殴られている。殴打回数は30回以上に及び、蘇生術を施している様子も映っている。
なお、キオスクの主人は1日に事情聴取に応じ、給与遅配はなかったと釈明。事件当時は不在だったし、アリソン容疑者も知らないと語ったが、同店は事件後も、ぐったりして横たわったモイゼさんをそのままに、営業を続けていた。
野党下議らは1月31日に拷問防止に関する国連小委員会と会談し、同件を非難。また、リオ州検察局に早急な事件解明を求める文書を出し、州政府の対応も求める一方、法政委員会で取り上げる姿勢を見せている。
ブラジルでのコンゴ難民殺害は5件目で、在ブラジル・コンゴ大使館も事件の解明を求めている。
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コンゴ難民のモイゼ・カバガンベさん殺害事件は国民にも相当大きなショックを与えたが、ネット上では現在、「モイゼに対して正義を」と題したキャンペーンが展開されている。これには社会的影響力のある有名人が多数参加。歌手のパブロ・ヴィッタルをはじめ、女優のカミラ・ピタンガやレチシア・サバテラ、テレビ司会者のタタ・ヴェルベッキらが声を上げた。リオ市のエドゥアルド・パエス市長も強く解明を訴え始めている。