中央銀行の通貨政策委員会(Copom)は2日、経済基本金利(Selic)を1・5%ポイント(P)引き上げて10・75%とした。Selicが2桁台に乗るのは約4年半ぶりのことで、高インフレの前に経済活動が停滞していることを意味する。2、3日付現地紙、サイトが報じている。
今回の引き上げで、Selicは昨年の3月31日の会議から8回連続で上昇を記録することとなった。
最初のうちは0・75%Pの引き上げだったが、8月と9月は1%P、10月27日以降は、12月8日、そして今回と、3回連続して1・5%Pのハイペースで上がり続けることになった。
Selicが2桁台となったのはテメル政権時代の2017年7月以来のこととなる。Selicは、ジウマ政権末期からテメル政権初期の景気減退期(2015年7月から16年10月)には14・25%で固定された状態だったが、そこからは段階的に下がっていった。
その結果、2021年2月には、1996年に導入されて以来最低値となる2%にまで落ちていたが、そこからは上昇に転じた。昨年からの引き上げのペースは速く、1年足らずで8・75%Pの上昇を記録した。このペースは、カルドーゾ政権末期からルーラ政権初期にかけての2002年10月〜2003年5月に記録した8・50%を超えている。
この急上昇の背景には、昨年からのインフレ高進がある。2021年の広範囲消費者物価指数(ICPA)は10%を超えたが、これは先進国、新興国の44カ国のうち、4番目に悪い記録だった。
ただ、エコノミストたちは、現在の1・5Pずつの上昇サイクルはすでに終わりに近づいており、続いたとしても次回(3月15〜16日)のCopomまでになるであろうと見ており、それ以降は徐々に、上がり方が落ち着くとの見方を示している。
中銀自身も2日の会議後、Selic引き上げのペースを落とす意向を表明している。
それでも、エコノミストたちは今年末のSelicを11・75~12・0%と予想しており、2023年になってやっと8%まで落ちるとの悲観的な観測を行っている。
その原因は、インフレが2年連続して政府目標の上限を守れないであろうとの予測が出ていることだ。市場では今年の年間インフレ率を5・38%、中銀は5・40%と見ている。これは目標とする3・5%に1・5%Pを加えた上限値の5%を上回る数字だ。
ロベルト・カンポス・ネット中銀総裁は昨年末から、今年も目標上限を超えるインフレとなる可能性があることについて、「コモディティ価格の上昇とレアル安という国外からの要因に加え、電力不足による電気代の高騰、コロナ禍による先行き不透明感などがあるためだ」との声明を出していた。
なお、中銀は2023年のインフレを3・2%と予想している。
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