【既報関連】1日に発生したサンパウロ市地下鉄6号線建設現場での下水管破損とそれに伴うマルジナル・チエテの路面陥没事故は、市内の交通、物流に多大な影響を与えており、市内の交通の正常化を最優先しながらの復旧作業が進められている。
1~3日付現地紙、サイトによると、ジョアン・ドリア知事は1日、マルジナル・チエテ(アイルトン・セナ高速道方面行き)の通行再開を最優先するよう求めた。
地下鉄6号線の工事を担当しているアシオナ社はブラジルでも24年の経験を持つ建設大手だが、今回のような事故は初めてだ。
サンパウロ市市民220万人分の下水をバルエリの処理場まで運んでいた下水管の破損事故は、チエテ川の南に設けられた通気と非常時の退避用の穴(VSE、将来は駅になる)とそこから延びる地下トンネルを汚水で満たした上、VSE脇の土壌をえぐり崩した。
これによって生じた路面陥没は最初、路肩部分だけだったが、次第に拡大し、1日夕方には市街地側3本目の車線に到達。いったんは開放された中央レーンの通行も再度禁じられた。高速レーンは事故直後に一時的に通行停止となったが、開放されている。
陥没箇所の修復作業は、破損した下水道に流れ込む下水を他の下水網に流す作業などを待って始まった。2日未明からの作業では、コンクリートミキサー650台分(約2万トン)のコンクリートが流し込まれた。また、地盤安定を図るため、VSEにもトラック1200台分の岩やモルタルが投入された。
コンクリートで陥没部分を埋める作業は2日夜に終わり、3日は乾燥するのを待つ段階に入った。コンクリート流入が終わった時点で、4日に予定されていた中央レーンの開通は3日午後5時に前倒しされた。
ただし、市街地側のレーンは10日前後で再開としか報じられておらず、ピケリー橋~フレゲジア・ド・オー橋間は市街地内の迂回路を使う必要がある。
なお、掘削中のトンネルやVSEに溜まった下水を抜く作業は、対岸のマルジナル・チエテ(カステロ・ブランコ高速道方面行き)脇にあるVSEから行われる。
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1月31日に起きたサンパウロ市の幹線道路マルジナル・チエテの路面陥没で一躍有名になった円形の巨大トンネル掘削機「タトゥゾン」が、下水に浸かったために修理が必要になった。タトゥゾンは長さ109メートル、直径10・61メートル、重量2千トン、操作そのものにも50人近くの人を必要とする巨大なもの。これを聞いただけで、この機械がいかに重要か、修理がいかに困難かが容易に想像できる。地下鉄6号線用のタトゥゾン2機は1日12〜15メートルの掘削を行っていたというから、作業の遅れもやはり心配だ。修理用の部品は既に注文済みだが、ただでさえ遅れていた6号線が完成するのは一体、いつになるのだろう。