サンパウロ市の公立校では、3日現在で1万4千人の子供が未登録という状況が生じている。2日からは州立校、7日からは市立校が始業しているが、学校に通えない子どもが続出している。4日付現地紙などが報じている。
4日付フォーリャ紙によると、定員不足はサンパウロ市内の市立、州立校の基礎課程1年生(6〜7歳児)を中心に起きている。問題は13学区に広がり、東部イタケラ地区の2千人、南部サントアマーロ地区の1300人などが目立っている。
サンパウロ市では少なくとも生徒の登録記録の残っている07年以降、最近まで、定員不足は起きていなかった。
同市の定員不足は、ジョアン・ドリア・サンパウロ州知事(民主社会党・PSDB)が、基礎教育課程(6〜14歳)と中等教育課程(15〜17歳)の州立校を全日制(periodo integral)に移行しているのに、リカルド・ヌーネス・サンパウロ市市長(民主運動・MDB)の市政がついていけなかったことが最大の原因だという。
全日制校増設は18年の知事選でのドリア氏の公約だ。全日制の州立校は2019年は417校だったが、今年は約5倍の2050校に増えている。通常は二部制、三部制だった学校を全日制にすれば、当然、生徒の収容能力は下がる。
その分、学校自体を増やさなければならない。基礎教育は市と州の担当であり、学校の編成変更を行う場合は州と市の協力が不可欠だ。サンパウロ市ではここ数年、州立校が6割、市立校が4割の生徒を受け入れてきた。だが、全日制校増加で州立校の定員が減り、市立校がカバーしきれなくなったという。
教育研究所「アルチクレ」のアレッサンドラ・ゴッチ所長は「州と市の計画や連携の不足」と分析。学校評議会の代表評議会サントアマーロ支部のアミルトン・アモリン理事も、「12月以降、入学先を探して相談に来る家族が増えた」という。
同件はサンパウロ市議会の今年最初の議題にもなっており、シディネイ・クルス市議(連帯・SD)は「多くの親が市議会に問題解決を求めている」と語っている。
定員不足が最も深刻なのはサンパウロ市では、ドリア知事とヌーネス市長が定員増を図っており、7日の同州での定員不足数は5020人に減少。ヌーネス市長は「必ず入学できるようにする」と約束している。