《ブラジル》ボルソナロ=「コロナ対策にミスはない」=死者世界2位の63万超でも=世間に耳貸さず、反省なし

リオ・グランデ・ド・ノルテ州での式典でのボルソナロ大統領ら(9日付G1サイトの記事の一部)

 ボルソナロ大統領が9日、リオ・グランデ・ド・ノルテ州ジュクルトゥで「新型コロナのパンデミック中、一度たりともミスは犯していない」と語ったと同日付現地サイトが報じた。この発言は、サンフランシスコ川の治水工事進展で同州に水がひかれた事を記念する式典でのものだ。
 大統領は9日、8日に訪問したカイコー市からヘリで到着。オイチシカ・ダムの視察と式典にはロジェリオ・マリーニョ地域開発相らも同伴。サンフランシスコ川の水が同州に届いたのは初めてで、8市33万人が恩恵を受ける見込みだ。
 同式典では、同市から延び、国道226号線と交わる街道の舗装工事第2段階を遂行するための指示書への署名も行われた。
 大統領はいつものようにマスクも着けずに壇上に立つと、連邦政府は新型コロナ用ワクチン購入その他の必要な措置をとっており、パンデミック中、何のミスも犯していないと強調。接種は義務ではないとも語った。
 だが、上院の議会調査委員会は大統領の責任を問い、最高裁に大統領を告発。虚報拡散も含め、検察庁や会計検査院が少なくとも6件の嫌疑で捜査中だ。

 ワクチン接種に関してはケイロガ保健相も「子供への接種は強要できない」と語り、「児童・青年憲章では接種は義務と書かれている」と批判を受けている。
 保健相は国家衛生監督庁(Anvisa)が小児用ワクチンの使用を認めた後も、大統領の意向を汲んで公開協議を行うと言い出した上、小児への接種決定後にやっとワクチンを購入など、ワクチン承認から接種開始までに1カ月かかったとして、意図的な遅延操作だと糾弾する声も上がっている。
 テメル前大統領は、「ボルソナロ氏が国を一つにして新型コロナ対策に取り組んでいれば再選は堅かった」と語ったが、大統領選支持率調査でルーラ氏に水をあけられているのも、知事や市長達と協調せず、世界第2位となる63万人超の死者が出ている事や、予防接種効果で死者や入院者減少という事実の前でも接種に反対し、虚報を流したりした事の影響も大きい。
 他方、大統領の意向に従いつつ、予防接種を受けるようにと呼びかけるなど、ケイロガ氏の一貫性のなさも批判の的だ。オミクロン株対策の意味も込めた4回目の接種の対象拡大を低免疫力者や医療従事者から高齢者、全年齢層に広げる事を保健省も検討中だが、子供への接種を遅らせた責任などを問う声は強まっている。 

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