《ブラジル》ドリアの大統領選出馬に黄信号=あまりの低支持率にPSDBで内乱か

ドリア知事(Valter Camargo/Agencia Brasil)

 大統領選の世論調査で低支持率に悩むジョアン・ドリア・サンパウロ州知事が、民主社会党(PSDB)の重鎮らを含む反対派からの圧力を受け、出馬辞退まで迫られている状況にある。9、10日付現地紙、サイトが報じている。
 ドリア氏は昨年11月のPSDBの党内選挙でエドゥアルド・レイテ・リオ・グランデ・ド・スル州知事に勝ち、同党の大統領候補となった。
 だが、正式な出馬候補となっても、世論調査でのドリア氏の支持率は4%で全体5位の状況は変わらない。さらに、これから支持率を伸ばすべきタイミングなのに、拒絶率が支持率1位のルーラ元大統領と同じ34%と高い。さらに、同氏の最大の売りであるコロナワクチンを国内で最初に始めた知事という実績が国民全体に響いていないなど、大きなマイナス要因も見受けられる。
 8日、同党の創始者の一人であるピメンタ・デ・ヴェイガ氏の家で象徴的な出来事があった。そこにはタッソ・ジェレイサッチ、ジョゼ・アニーバル両上議、アエシオ・ネーヴェス下議など、レイテ氏を支持した党内の大物が集まって会合を持ち、離党の可能性まで話し合ったという。

 ドリア氏は翌9日にラジオのインタビューで、これを「敗者たちの晩餐会」と呼んで気に留めなかった。
 だが、レイテ派からの圧力は相当深刻だ。この会議だけでなく、同党の下議32人のうち、6〜10人が離党を希望しているとも言われている。
 反乱勢力は、離党だけでなく、レイテ氏を社会民主党(PSD)に移籍させての出馬案や、民主運動(MDB)のシモーネ・テベテ上議を支持することなども念頭に入れ始めているという。
 こうした事態に対して、PSDBのブルーノ・アラウージョ党首は9日、「党内選挙で勝利したのはあくまでもドリア氏だ」とし、民主主義の末に選ばれた結果を素直に受け止めるよう促している。
 この問題が表面化した直後の10日、ドリア知事はサンパウロ州の警察部門と保健部門の従事者の給与を20%あげることを発表している。

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