《リオ市》コンゴ青年殺害事件=モイゼ氏の家族が権利放棄=市からのキオスク譲与案で

市役所がキオスク譲渡を申し入れたと報じる5日付コレイオ・ド・ポヴォ・サイトの記事の一部

 【既報関連】1月24日にリオ市西部のバラ・ダ・チジュッカで起きた、コンゴ人難民のモイゼ・カバンガベ氏(24)のリンチ・殺害事件後、リオ市が申し出ていた殺害現場のキオスク譲渡の話を遺族達が断ったと11日付G1サイトなどが報じた。
 モイゼ氏は、遅れていた給与の支払いを求めて店(キオスク)に行ったが、店にいた男など、計5人によって床に叩き付けられ、縛り上げられた上、棍棒や野球のバットで殴られ、肺損傷などを起こして死亡。
 男達がモイゼ氏に暴行を振るう様子や、意識を失って倒れた同氏を放置し、店の営業が続けられた様子は、防犯カメラの映像で明らかになっている。
 同件は表沙汰になった時点で5人が関与と報じられていたが、捜査の初期に公開されたビデオで確認された男性3人が逮捕された事で全容解明という雰囲気が漂った。だが、その後に公開された映像で3人以外にも暴行に加わった人物がいた事が確認され、検察側の捜査が続いている。
 この事件は人種差別や難民差別の問題ともあいまって、リオ市内だけでなく、サンパウロ市、クリチバ市などで全国的な抗議活動も引き起こした。

 また、男性3人が逮捕された後、リオ市が遺族にキオスクを譲渡する意向を表明。店の周囲にはモイゼ氏顕彰の意味を込めた絵が掲げられた上、コンゴ人を含むアフリカ人やその文化を伝える事もできる場所として、店を経営してほしいと遺族に頼んだ。
 だが、その後の捜査で、モイゼ氏を殺害した男達はミリシア(犯罪者の民兵組織)関係者である可能性などがささやかれ始めた上、3人以外の人物の関与を示す画像が公開された事などを受け、遺族が10日に検察局と会談。検察は捜査の迅速化を約束する一方で、新たな画像の解析や容疑者の割り出しのための時間も求めた。
 だが、今月はじめに譲渡を申し入れられた時はかなり乗り気だった遺族達は、その後の動きなどから不安や恐怖心を募らせ、11日に事件現場となったキオスクの経営を含めた譲渡の話を断る意向を弁護士会に伝えた。
 弁護士会によると、遺族達が現場のキオスクを譲り受けるのは怖いと話しているため、15日に市役所をはじめとする当局と再交渉の時を持ち、モイゼ氏の顕彰方法や別の場所にあるキオスク譲渡の可能性などについて話し合うという。
 現場のキオスク譲渡の件は7日に合意に至り、市長自らがツイッターを流したりしていたが、その時点でも店主が店は譲らないと主張していた事などで、遺族達の間で不安や恐怖心が広がっていたようだ。

最新記事