12日にアラブ首長国連邦のアブダビで行われたサッカーのクラブW杯決勝で、南米代表のパルメイラスは欧州代表のチェルシー(イングランド)と延長戦にもつれ込む熱闘を繰り広げたが1ー2で敗れた。ファン積年の夢、世界一のタイトルには今回も手が届かなかった。13日付現地紙が報じている。
パルメイラスとチェルシーともに長い歴史を誇る伝統クラブながら、世界一の優勝杯を手にしていないことで知られる両チームの一戦では、序盤から積極的な攻撃でゴールに迫った。ボール占有率で上回るチェルシーが多くシュートを試みたが、パルメイラスがカウンターでゴールを脅かすこともしばしば。だが、堅い守りもあり、前半は無得点のままだった。
試合が動いたのは後半10分、ゴール前の競り合いをチェルシーのエース、ルカクがヘディングを決め、チェルシーが先制した。
すると5分後、ドゥドゥのシュートが相手キーパーに止められた直後、パルメイラスがゴール前でのチアゴ・シウヴァのハンドを主張し抗議。VAR判定で主張が認めらPKに。これをラファエル・ヴェイガが決め、試合は1ー1となった。
90分で決着がつかず試合は延長に。猛暑の中、両チームとも攻撃の主力を下げ、120分の死闘となっていたが、試合は硬直状態でPKに決着がもつれ込むかと思われた。
だが、残り時間5分の延長後半5分。チェルシーがゴール前でのルアンのハンドを主張。これがVAR判定で認められPKに。これをハヴァーツが決め2ー1としたチェルシーがそのまま逃げ切り、初の世界一に輝いた。
試合後、サンパウロ市内では同チームの応援団が荒れた。パルメイラスの本拠地である西部アリアンツ・パルケで試合を見ていた熱烈なファンの間で大喧嘩が起き、ダンテ・ルイスさん(42)が背中を銃で撃たれ亡くなった。加害者としてジョゼ・リベイロ・アポストロ・ジュニオル容疑者が逮捕された。同容疑者は正当防衛を主張している。
他にも自宅マンションで試合を巡って口論が過熱して殴って一人を死亡させるなど、期待が外れたファンの落胆の大きさをうかがわせる荒れ具合となった。
□関連コラム□
120分間の猛暑での大熱戦の末に、クラブW杯決勝で敗退したパルメイラス。ライバル争いに容赦ないコリンチャンスやサンパウロ、サントスなどの応援団からの「世界一なし」のヤジが止むことは残念ながらなさそうだ。
だが、選手の活躍は評価されているようで、得点を決めたラファエル・ヴェイガやドゥドゥ、ダニーロらに対し、「代表入りすべきだ」との声がネット上では上がっていた。また、チェルシーに決勝点を献上する契機となったハンドをとられ、その数分後に相手へのタックルで退場処分となったルアンは踏んだり蹴ったりだったが、温かく見守って欲しいところ。
★2022年2月9日《ブラジル》サッカークラブW杯=パルメイラスが決勝進出=12日に初の世界一に挑戦
★2022年2月3日《ブラジル》サッカーW杯南米予選=セレソンが4発でパラグアイに圧勝=エクアドルは進出決定お預け
★2022年1月28日《ブラジル記者コラム》サッカー界に型破りの15歳、出現!