《ブラジル》ボルソナロがプーチンと相互協力誓う=ウクライナ問題やや緩和の中=反共、反コロナの姿勢緩める

ボルソナロ大統領とプーチン大統領(Kremlin Oficial)

 ロシア訪問中のボルソナロ大統領は16日、モスクワのクレムリンでプーチン大統領と会談を行った。ボルソナロ氏は同国到着時もマスクを着用。共産主義の兵士の追悼会に参加し、ロシアの要請通りのPCR検査を受けるなど、ブラジル国内での態度と一変した様子をうかがわせた上、会談でも強い友好ぶりをアピールした。16日付現地サイトが報じている。
 ボルソナロ大統領のロシア訪問は、ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻の恐れ、それに対する米国と北大西洋条約機構(NATO)の制裁準備の中で行われ、国際的批判を浴びていた。
 だが、ボルソナロ氏がロシアに到着した15日、プーチン大統領がクリミア半島で軍事演習を行っていたロシア軍を部分撤退させると発表。そのため、緊張感がやや緩和された中での会談となった。
 ボルソナロ大統領は16日にクレムリンを訪れたが、最初に行ったことは、ソビエト連邦時代(1922〜91年)に体制の犠牲となった共産主義者の兵士たちの追悼式典への参加と献花だった。花は第2次世界大戦(1939〜45年)で命を失った兵士らの記念碑に捧げられた。
 この行事は同国を訪れた各国首脳が必ず行うものだが、ボルソナロ氏は2018年の大統領選で「共産主義根絶」を訴えており、共産主義を毛嫌いする言動をとり続けていた。

 ボルソナロ氏はプーチン大統領との会談までにコロナウイルスに関する5回のPCR検査を受けた。フランスのマクロン大統領やドイツのシュルツ首相らはワクチン接種を受けていたが、「DNA採取を行う」可能性があることを理由にこの検査を拒絶。結果、プーチン大統領はこれらの首脳とは5メートルあるテーブル越しで会談を行ったが、非接種者のボルソナロ氏は5回の検査がすべて陰性だったため、小さなテーブルを挟んでの会談が認められた。
 ボルソナロ氏のロシア訪問は国際社会での孤立状態打開のためと見られており、ロシア側の要請に従ったマスク着用や検査実施は、ブラジル国内で新型コロナ対策に反対し続ける同氏のイメージとかなり異なるものとなった。
 ボルソナロ大統領は会談の席でもウクライナに関する直接的な言及を避け、「平和を望むすべての国に対して連帯を示したい」とだけ発言した。ロシアとの二国間関係に関しては「ロシアに連帯を示したい」と語り、「軍事、電力、農業をはじめとする、あらゆる分野で協力していきたい」と語った。
 大統領はさらに、ロシアが昨年、違法薬物を所持して入国して逮捕されたブラジル人運転手に恩赦を与えたことにも感謝の意を示した。
 一方、ロシア側も「ブラジルとの貿易はコロナ禍での規制がある中で87%も伸びた。より生産的な関係を築いていきたい」と意思表示した。
 プーチン大統領はまた、16日に豪雨被害が報じられたリオ州のペトロポリスの被害者への追悼のコメントも行った。
 今回のロシア訪問では、ブラジルの農業界が強く望むロシアからの肥料供給安定化のための交渉や、ロシア側が希望するペトロブラスからの肥料工場の買収交渉などが進められた。
 ボルソナロ氏は17日にロシアからハンガリーへと向かい、その後に帰国する。

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 15日、リカルド・サレス元環境相はネット上で、「ボルソナロ大統領は第3次世界大戦を避けた。ノーベル平和賞を受賞するべきだ」と投稿し、話題を呼んだ。サレス氏は、ロシアのプーチン大統領がウクライナからロシア軍を部分撤退したのは、この日からロシアを訪問したボルソナロ氏の功績だとし、あたかも米国のタイム誌やCNN局がそのように報じたかのように発言して、大統領支持者を喜ばせた。だが、残念ながらそのような事実はなく、この投稿後、サレス氏はネット上でやり玉に挙げられた。サレス氏自身は「冗談だった」と弁明しているが、信じたかった人もいたかもしれない。

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★2022年2月12日《ブラジル》会談までに5回の検査を=ロシアが訪問団に要請
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