日本政府は近年、国際協力機構(JICA)を通じて、ANIR(ロライマ日伯協会)への支援だけでなく、ロライマ州に到着したベネズエラ難民への支援活動も積極的に行っている。このことからロライマ州では、日本に対する好感度が非常に高まっている。
2018年、ロライマ州には毎日約1千人のベネズエラ難民が到着し、ボアビスタでもベネズエラ人が急増した。それに伴い、同市に「リベルダーデ社会センター」(CENTRO SOCIAL LIBERDADE)が開設され、ベネズエラ人の入国登録、就労支援、子供や女性への生活支援活動を行い始めたが、パソコンなどの事務所設備は不十分で、十分に業務が行えていない状況だった。
その改善を図るため、2020年に日本政府が「草の根・人間の安全保障無償資金協力」事業による「ロライマ州ボアビスタ市ベネズエラ避難民のための機材整備計画」(供与限度額額 4万2926米ドル)を実施。同センターに椅子や机、棚などの事務所設備、事業用車両を寄贈し、避難所内の防犯用柵の設置などを行った。
センター事務補佐のダニエリ・キングさんは、「私たちの日本に対する感謝をぜひお伝えしたいです。資材の提供で事務所の環境がとても改善されました。日本の大使も訪問してくださり、とても良い印象を持ちました。日本人はとても親切で、喜んで人を助けたり知ろうとする国民です。日系コミュニティに関しては、その存在を知っているだけで交流はありませんでしたが、もっと交流できれば、お互いの活動を知ることができ、文化交流も可能になります」と笑顔で語った。
センター入り口の壁には「コラボラソン・ド・ポーヴォ・ジャポネース(日本国民の貢献)」との文字が添えられた日本の国旗が描かれ、事務所内にのいたるところに同様のシールが貼られている。
昨年から同センターと情報交換をしながら、サンパウロ州でのベネズエラ人の受け入れ体制を準備している難民・移民支援団体「NGO―PDMIG」のアブドゥルバセット・ジャロール副代表も「ロライマ州でのベネズエラ難民の支援において、日本は存在感があります」と話す。
他にも、19年から20年にかけて、ボアビスタ市内で日本政府が存在感を示したベネズエラ難民への支援活動には、市内に設けられたシェルターへ国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)を通じて物資配布の援助、聖母ナザレー産科新生児科病院の機材整備への協力などがある。(取材・執筆/大浦智子、つづく)