【既報関連】サンパウロ州では21日現在も318人の小学1年生が在籍登録できていないと、21日付現地サイトなどが教育現場を巡る諸問題を報じている。
コロナ禍で遠隔授業となり、読み書きできない6~7歳児が4割に増えた事は9日付本紙でも伝えた。
また、授業料を払えない親が増えたり、対面授業が不能となったりして生徒数が減り、閉園、閉校となった幼稚園や私立校もある。
サンパウロ州政府は20日までに全員入学と約束したが、21日現在もまだ、小学1年生だけで300人以上が入学できていない。これは、私立校から公立校に移る生徒の増加や全日制校増加に伴う定員数減少、コロナ対策にあわせた工事の遅れ、教室毎の生徒数を増やしても交通手段の確保不能などが原因で、調整は難航している。
在籍登録できない生徒はサンパウロ市だけで一時5千人に達していた事を考えれば状況は改善しているが、教育は子供の権利で、在籍登録完遂は検察なども絡む作業となっている。
また、21年12月に行われた全国調査では、28%の親が今後2年間の優先事項は補習と(コロナ禍で失った履修内容の)回復と考えている事もわかった。この調査には1850人の子供の親1306人が応じた。
補習が必要な科目は算数(数学)71%、ポルトガル語70%、科学62%、歴史60%だ。読み書きは家庭での指導が難しく、指導強化が必要な低学年児は76%いる。
対面授業に戻った生徒は88%で、83%の親は対面授業で習得度改善と回答。対面授業で積極的になった86%、将来を肯定的に見始めた80%、宿題を自分でやり始めた84%、勉強に興味を持ち始めた77%となっている。遠隔授業のままの生徒の場合、各々が74%、72%、72%、60%だった。
対面授業再開で教師の価値も再認識され、23%が教師養成の機会充実、43%が教師の昇給が必要と回答。30%は学校の設備充実、22%は教育への技術の適用も必要も答えている。
別の調査では、学校活動に全然参加できなかった生徒が80万人以上いた事や、対面授業ゼロで学年を終えた生徒が4分の1(低所得では34%)おり、社会格差が拡大している事も判明した。
また、12~17歳児の89%はワクチン接種を受けており、6~11歳児の親の76%は接種を受けさせる予定と答えている。