国連が23日、環境関連の報告書を発表した。報告書では気候変動と土地利用のあり方の変化により、森林火災が世界的に増加、火災件数は2050年には30%、今世紀末には50%増えると予測。森林火災は人の不注意や落雷などの自然現象からも引き起こされるが、森林伐採による農牧地や住宅地の開発という人的活動が制御不能な火災を引き起こす頻度を高めていると指摘している。
報告書ではさらに、森林火災は鎮火までに時間がかかり、地域の気温を高める上、湿地地帯の泥炭乾燥や極地の永久凍土融解など、予期せぬ場所で、予期せぬ出来事を引き起こす事で生態系を保存するための最後の砦さえ破壊していると明言。森林関連投資の3分の2は火災予防や火災後の回復に回すべきと述べている。
同日付国内紙には、法定アマゾン南部で「死ぬ樹木が増加」との記事も出た。法定アマゾン南部は法定アマゾン内の他の地域よりも乾燥し、気温も高い状況にある。高気温や水不足、強風などは幹のひび割れや、樹冠(茂った樹木の頂)や枝が枯れるといった現象を引き起こす。樹冠や枝が枯れれば、樹木は生育に不可欠な光合成が行えなくなり、死に至る。同地域の森林環境が回復不能な水準に達した可能性もある。
マット・グロッソ州立大学のシモネ・マチアス・レイス教授は、農牧地開拓のための森林伐採や森林火災が多いほど、雨が減り、強風が増すとして、法定アマゾン南部の樹木の死は伐採増が原因との考えを示した。
南米では現在、アルゼンチンの森林で大火災が続き、ブラジル南部のリオ・グランデ・ド・スル州にも灰や煙が押し寄せている。
そうした中、ボルソナロ政権はブラジル北部や北東部での金採掘を合法化する法案を提出した。
法定アマゾンの一部では二酸化炭素の排出量が酸素の排出量を上回っている事は既に報じられている。
ブラジル南部で発生した深刻な干ばつが減収を招き、食料品のインフレ圧力にもなっている事は周知の事実。昨年半ばからの中西部を中心とした少雨、干ばつは電力危機も招いた。
先住民保護の観点からも、森林伐採や金採掘のあり方を考え直す必要がありそうだ。(み)