《ブラジル》コロナ禍で平均寿命が縮む=2年間で4・4年も短命に?

平均寿命が4・4年縮まったと報じる21日付オ・ヴァロール電子版の記事の一部(写真はアナ氏)

 新型コロナのパンデミックにより、ブラジル人の平均寿命が4・4年短くなっており、平均寿命が縮む時期が10年ほど前倒しされたと21日付オ・ヴァロール電子版などが報じた。
 2019年時点の平均寿命は76・6年だったが、コロナ禍で高齢者を中心に多くの死者が出た事で、現在の平均寿命は72・2年になり、4・4年縮まった。
 21年4月の時点では、ブラジル人の平均寿命は1・9年縮まったとされていたから、21年に起きたマナウス起源のガンマ株の流行による死者急増が平均寿命の短縮化を加速させたといえる。
 応用経済研究所(Ipea)のアナ・アメリア・カマラノ氏は、パンデミックによって死亡率が高まった事が平均寿命を急速に短くしたとし、22カ月間で4・4年短命になったという事は毎月0・36年(4カ月)ずつ短命化していた事になると説明。

 同氏によると、1980年から2019年にかけては1年につき4カ月平均寿命が延びていた。だが19年から21年にかけては、1カ月で4カ月ずつ、平均寿命が縮んでいた事になるという。
 平均寿命短命化は、死亡率が高くなった事に出生数減少が加わって加速された。少子化と出生数減少はパンデミック前から起きていたが、パンデミックは妊婦や新生児、乳児の死亡数増加と妊娠を先延ばしする人の増加を招いており、それ以前から始まっていた子供の数の減少に拍車をかけた。
 ブラジルで平均寿命が縮まり始めるのは2030年代の半ばと思われていたが、新型コロナのパンデミックにより、2020年代の終わりには短命化が始まるとの見方が強まったという。
 アナ氏の推定では、2020年の人口は2億4600万人で、2025年には2億1220万人に増えるが、2030年には2億970万人、2035年には2億420万人になるという。
 同氏は労働年齢人口(PIA)についても、20年の1億3600万人が25年には1億4270万人に増えるが、30年には1億3980万人、35年には1億3310万人になると見ている。

最新記事