【既報関連】物見遊山で戦火のウクライナに赴いたのではと物議を醸していたアルトゥール・ド・ヴァル・サンパウロ州議(ポデモス)が現地で行った、ウクライナ人女性を侮辱しているように聞こえる発言が漏れ、国内外で大騒動を引き起こした。これにより、同州議が予定していたサンパウロ州知事選への出馬を取りやめる事態が生じている。4〜7日付現地紙、サイトが報じている。
ヴァル氏は3月1日から、所属する市民政治団体、ブラジル自由運動(MBL)のリーダー、レナン・サントス氏と欧州に滞在。3日にはウクライナ入りし、「ウクライナ軍のために火炎瓶を作っているところだ」などとSNSで近況を伝えたが、この時点でもかなり言動が問題視されていた。
だが、4日にワッツアップ上で漏れた録音はそれ以上の衝撃を与えた。ヴァル氏はMBLの友人に宛てた録音の中で、「ウクライナの女性は尻軽(fáceis)だ 。なぜなら貧しいからだ」と発言した。発言の雰囲気から「貧乏だから簡単に買春できる」というニュアンスを感じさせたために問題になった。
同氏はさらに、「二つの少女グループと語らった。彼女たちは信じられないくらいに軽いんだ。サンパウロ市の女の子だったら馴れ馴れしくしようものなら唾をはきかけられるが、こちらはすごく親切だ。信じられないくらい」「200メートルほどの難民の列を見たが、みんな女神のように美しい少女だった」などと語った。
この発言は発覚直後からブラジル国内に波紋を投げかけ、「女性蔑視」「戦火で亡命しようとしている人たちに対し不謹慎」などと強い反発を招いた。国内の政治家やウクライナの元ブラジル大使ファビアナ・トロネンコ氏らも続々に同氏を批判し、州議罷免を求めた。
同件は国内メディアにとどまらず、イギリスのガーディアン紙やフランスのフィガロ紙などの国外メディアも同件を常識に欠けた例として報じ、国際的に知れ渡ってしまった。
ヴァル氏は5日、この件で謝罪し、10月のサンパウロ州知事選への出馬を取り下げた。有名ユーチューバー「ママイ・ファレイ」としての顔も持つ同氏は保守派の論客として知られ、2018年のサンパウロ州議選2位で当選。2020年のサンパウロ市市長選でも5位に入っていた。
ポデモスの大統領候補モロ氏は即座に同氏と距離を置くことを表明。党に対しても、速やかに姿勢を明らかにするよう求めた。
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アルトゥール・ド・ヴァル・サンパウロ州議のウクライナでの言動が話題を呼んだ週末の伯国。ボルソナロ大統領は同件について訊かれ、「あまりにも下品すぎてコメントする気にもなれない」と一蹴した。
過去に女性連邦議員に「レイプする気にさえならない」との暴言を吐き、問題となったボルソナロ氏ですら、戦火のウクライナの女性の尻軽呼ばわりはさすがに問題だと感じたか。なお、ヴァル氏は2018年の大統領選の際は熱心なボルソナロ氏支持者だったが、その後に仲違いし、現在は強い対立状態にある。
ヴァル氏は熱心なセルジオ・モロ氏支持者だが、今回の言動はモロ氏の大統領選に響くと心配されている。
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