《ブラジル》14州がマスク義務解除の意向=Fiocruzは時期尚早と警告=新しいデルタクロン株を不安視

閉鎖空間でもマスク着用義務が解除されたマット・グロッソ・ド・スル州(Tania Rego/Agencia Brasil)

 リオ市が7日に閉鎖空間でのマスク着用義務を解除した後、14日までに14州が開放空間または閉鎖空間も含んだ場所でのマスク着用義務解除の意向を表明した。だが、感染症研究の総本山であるオズワルド・クルス財団(Fiocruz)は11日、マスク着用義務の解除は時期尚早との考えを明らかにした。
 開放空間での着用義務解除はサンパウロ州、ゴイアス州、マラニョン州、エスピリトサント州、ピアウイ州、アマゾナス州、リオ・グランデ・ド・ノルテ州(16日~)。
 全空間での解除は連邦直轄区、サンタカタリーナ州、マット・グロッソ・ド・スル州、ロンドニア州。マット・グロッソ州、ミナス州、リオ州は閉鎖空間も含めた解除の時期決定を各市に委ねた。州都ではブラジリアを含む5市が全空間で、10市が開放空間で解除している。
 ただし、Fiocruzは「義務解除は時期尚早」と主張しており、その理由は、2月下旬~3月はじめのカーニバル休暇で人出などが増えた事の影響や、デルタ株とオミクロン株が合体したデルタクロン株の実態が不明な事などが原因だ。
 同財団は、ブラジルの死者が65万人を超え、致死率や死亡率が他国より高いのは、感染の波発生時の対策遅れが原因とし、現状では「従来通りのコロナ対策維持を」と勧めている。

 4日には重症急性呼吸器症候群(SARS、ポ語ではSRAG)の報告書で、0~4歳児のSARSでの入院者増加や5~11歳児の入院者減少停滞に警告。9日には、今年のSARS患者は8万5617人で、2月6日~3月5日の患者の87・4%は新型コロナ、0・8%はA、B型インフルエンザ、5・2%はその他のウイルスに感染していたと報告した。
 3月7~12日の新型コロナ感染者31万7082人は前週を9・7%、死者3018人も前週を0・1%上回った。もともとカーニバル後の感染者増は予想されていたが、12日の新規感染者10万231人、死者859人という数字は懸念材料だ。ただし、2週間前と比べた感染者は45%、死者も40%減少している。
 他方、国家衛生監督庁(Anvisa)は10日、ワクチン接種率や感染率などが異なる地域から人が集まる上、社会的な距離確保が困難として、空港内と機内でのマスク着用継続を決めた。
 また、高齢者や免疫力が低い人、基礎疾患のある人、未接種または接種未完了者、風邪の症状のある人は、規制緩和後もマスク着用が求められている。

★2022年3月10日《サンパウロ州》開放空間でマスク義務免除に=23日までに閉鎖空間も判断
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