サノフィ・メドレイ社製の高血圧治療薬回収問題で、高血圧症患者の間に不安が生じていた件に関し、国家衛生監督庁(Anvisa)が、脳血管障害や心筋梗塞を防ぐ意味でも治療を中断しないように勧告を出したと14日付現地サイトが報じた。
Anvisaは国際的な監査機関から、有効成分のロサルタンカリウムや、サルタナと呼ばれるクラスに属する他の医薬品に、「アジド」と呼ばれる不純物が存在するとの警告を受けた。
Anvisaその他の規制当局は2018年以来、サルタナクラスの薬物に許容レベルを超えるニトロソアミンが含まれていることに気がついており、このような不純物の衛生管理のための対策を採っている。
Anvisaでは不純物の存在が判明した後、サルタナクラスの不純物があっても、国内で流通している医薬品は安全であり、脳血管障害や心筋梗塞、腎不全などの発生抑制のためにも治療を継続するように勧告した。
Anvisaはこのような問題が生じた時は製薬会社が製造している医薬品を検査し、製造や販売の停止、薬回収といった措置を採用する。また、製薬会社にも不純物が存在する可能性を評価するよう通知し、報告書の提出を求める。
ニトロソアミンは水や燻製およびグリル製品、乳製品、野菜に一般的に見られる化合物で、通常は健康問題のリスクが低いが、許容レベルを超えた医薬品を長期にわたって使用していると、発ガンリスクを高める可能性があるという。
ただ、現時点での薬回収はあくまでも、製薬会社側が慎重を期して限られた製造ロットを対象に行ったもので、発ガン率の高まりや不妊などの異常が発生したという報告は出ていないという。
Anvisaは、医師から薬を取り替えるよう指示された場合も、銘柄などを変えるに止め、治療は継続するよう勧めている。