ウクライナ危機に端を発する混乱などにより、連邦政府は2022年の国内総生産(GDP)の見込みを、当初の予想の2・1%から1・5%に下方修正する意向を示している。それでも市場の予想よりも高い設定となっている。16日付現地紙が報じている。
22年の連邦政府の予算の収支についての最終的な結論は22日に行われるが、フォーリャ紙などによると、経済省は今日17日に今年のGDPの成長率は1・5%となると発表する見込みだ。
2022年が、2020年の4・1%減から4・6%増に回復した2021年のようには行かず、減速したものになることはパウロ・ゲデス経済相が公言しており、選挙年であるボルソナロ大統領にとって苦しいものになることも、かねてから報じられていた。
そこにロシアによるウクライナへの軍事侵攻が重なり、原油価格をはじめとするコモディティ価格の高騰がはじまるなど、すでに国際的な混乱が起きている。
こうした状況下、中央銀行の通貨政策委員会が16日に、経済基本金利(Selic)を現状よりもさらに1%ポイントあげて11・75%にした。市場による2022年のGDP予想は0・49%に下がり、年間インフレ率の予想も6%超となっていることから、さらに基本金利が上がると予想する専門家も多い状況だ。
だが、ゲデス経済相は市場のこの予想を「悲観的すぎる」として否定している。同相によると、「市場はブラジルの経済成長の潜在能力を過小評価している」という。ゲデス氏はその根拠として、2022年は社会保障プログラム「アウシリオ・ブラジル」に900億レアルの政府予算が使われること、公社民営化に伴う投資が780億レアル見込まれることを挙げている。
さらに、連邦政府は22年の経済活動活性化対策として、中小企業への助成金を強化することや勤続期間保障基金(FGTS)の引き落としを実施する方針を、かねてから表明している。FGTSの引き落としは世帯あたり1千レアルまでに限られる見込みだが、連邦政府は300億レアルの経済効果が生まれると睨んでいる。
工業製品税(IPI)の25%下げや、燃料への商品流通サービス税(ICMS)の課税率上昇に制限を加えた法令も経済成長に貢献するとみられている。
だが、連邦政府にとって22年の財政状況が厳しいことは確かだ。ゲデス経済相は15日、「わが国の予算は第2次世界大戦に備えなければならない」と発言。この発言後は「ウクライナ危機で叫ばれているのは第3次世界大戦への不安なのになぜ」と疑問視されたが、ゲデス氏は「文字通りの意味ではない。私にとっては、最初の戦いがコロナ禍であり、2度目の戦いがウクライナ危機ということだ」との表現で発言の真意を述べ、「連邦政府の負債をゼロにするための戦いだ」と語っている。
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