ペルーの国民議会で14日、ペドロ・カスティジョ大統領に対する弾劾手続きを受け付けるかの判断が行われた。同国では2018~20年に政治動乱を体験した大統領が4人いる。また、カスティジョ氏自身に対しては2度目の弾劾手続きの要請だ。15、16日付現地紙が報じている。
今回の弾劾請求は、カスティジョ大統領が現在直面している汚職疑惑に対するものだ。同大統領は、公務時間外に企業家たちと公共建設に関する会合を持ち、企業家たちに便宜を図った上、資金洗浄を行ったとの疑惑をもたれている。
14日の議会で行われた投票では、76票対47票で弾劾手続きの実施が認められることになった。
カスティジョ氏が弾劾動議を求められたのはこれが初めてではない。同氏は昨年12月にも同様に汚職で弾劾を求められていたが、その際は賛成票が規定に足らず、弾劾を免れた。だが、カスティジョ大統領は昨年の7月に就任以来、わずか8カ月間で2度目の弾劾手続きを開始された。
ペルーは政権が安定せず、2018年から20年にかけて、大統領が3人交代する事態が起こっている。そのうちのクジンスキー大統領は、18年に罷免されそうになった際に辞任。ビズカラ大統領は20年に罷免されている。
カスティジョ大統領も候補者が乱立し、混戦となった2020年の大統領選を急進左派候補として戦い、保守派のケイコ・フジモリ氏との決選投票となった。その際、集計結果をめぐる攻防で、当選者が数カ月かかっても決まらないという異常事態の末に大統領に選ばれたという経緯があった。
だが、就任後も、カスティジョ氏への国民の不支持率は70%に達するなど、期待はずれの様相だ。就任後に軍の高官たちが相次いで辞任したことや、コロナ禍の中で政府がパーティを行ったことなどが理由としてあげられている。
弾劾の是非を問う投票は28日に実施される予定で、130人の議員のうち87票以上の賛成があればカスティジョ氏は罷免される。その場合の後任は、ディナ・ボルアルテ副大統領が務めることになる。
だが、同国の政治の専門家たちによると、議会は保守派が多数派を占めているものの、有効得票数に達するかはかなり疑問だという。