【既報関連】最高裁のアレッシャンドレ・デ・モラエス判事は20日、18日に命じた通信アプリ「テレグラム」の国内での運営停止を解除した。19〜21日付現地紙、サイトによると、これは、虚報拡散や暴力的言動を繰り返すユーザーのアカウント凍結命令に同社が応じたためだ。
その間、ボルソナロ大統領支持者は同判事の行動は「独裁主義的」とし、「この国には軍政令第5条(AI5)が必要だ」などと騒ぎたてた。
テレグラムの停止命令は、同アプリ上で問題発言を繰り返しているボルソナロ大統領派のジャーナリストのアラン・ドス・サントス氏らのアカウント凍結命令などに同社が従わなかったために出されたもの。
テレグラムはかねてから、ツイッターやフェイスブック、インスタグラムなどのSNS大手で使用停止処分を受けた人たちが「表現の自由」を求めて集まる傾向が世界的に強く、コロナワクチンに関する虚報拡散やナチズム擁護発言などが頻繁に行われている。
モラエス判事による停止命令に対し、ボルソナロ大統領支持者の間では「判事による独裁主義」「こうした判事の暴走を許さぬために今一度AI5が必要だ」などの過激な声が飛び交った。軍政時代の1968年に出たAI5は、検閲強化や軍による政治犯逮捕を容易にさせ、軍政以上にタブー視されている。モラエス判事は「それが何かも知らないくせに」と、これらの声を一蹴している。
結局、テレグラム側が24時間以内に命令に応じたため、ブラジル全土での使用停止は解除された。命令の中にはボルソナロ大統領による発言の削除も含まれていた。モラエス判事はさらに、24時間以内に虚報拡散防止対策について述べることも命じている。
ボルソナロ大統領は21日、モラエス判事の行動に対し、「アプリを使用停止にするのは犯罪だ」と怒りをあらわにし、「テレグラムの運営停止を解除したのは最高裁の多数派に負けたからだ」との私見を語っている。
★2022年3月19日《ブラジル》モラエス最高裁判事がテレグラム禁ずる=虚報アカウント放置に対し
★2022年2月22日《記者コラム》なぜボルソナロはロシア訪問したのか=選挙時のサイバー攻撃依頼説が浮上⁈
★2022年1月26日《ブラジル》オラーヴォ氏がコロナ死?!=極右思想のインフルエンサー=ボルソナロ政権に影響あるか