ミウトン・リベイロ教育相が「ボルソナロ大統領から頼まれた」として、ある特定の牧師が絡んだ自治体に対し、「連邦政府の援助金を優遇する」と発言した録音が漏洩され、物議を醸している。22、23日付現地紙が報じている。
この録音はフォーリャ紙が入手したもので、21日の夜に同紙サイトで公開された。ジウマール・サントス、アリウトン・モウラという2人の福音派牧師と、彼らに関連する自治体の市長が参加して行われた省内会議での録音だった。
そこでリベイロ教育相は「ジウマール牧師の依頼に優先的に応えることは、大統領から特別に頼まれたことでもある 」との発言を行った。
両牧師が属するアッセンブレア・デ・デウス教会はキリスト教プロテスタントのペンテコステ派世界最大の宗派。それに関係の深い市に対して、連邦政府に保育園や学校建設のための費用や最新テクノロジーの機械を購入するための費用捻出を願い出ていた。
この依頼は2021年1月から行われているが、両牧師は何の公職にも就いておらず、このような公的施設に関する依頼を行うべき立場にはない。両牧師の行動はいわゆるロビー活動とみなされている。
両牧師は連邦政府からの資金援助を、教育省が管理する国立教育促進基金(FNDE)に対して求めていた。録音の中でリベイロ教育相は「現在、予算は削減の方向にある」としながらも「最も必要とされる市の願いとあっては答えないわけにはいかない」と発言している。ボルソナロ政権の最初の2年間、教育関係の費用は削減の憂き目にあい、過去10年でワーストだった。
そんな中でも、ジウマール牧師が強い影響力を誇るマラニョン州の94市から267の事業依頼をFNDEは昨年受け、合計で6億8400万レアルを支出している事実も判明している。その中の一つ、アルカンタラ市は2万7400レアルを得ているが、そこにアリウトン牧師が21年5月にリベイロ教育相と共に軍用機を使って訪れたことも記録されている。
この疑惑が報じられるのはフォーリャ紙の報道が初めてではない。エスタード紙も18日に「〝福音派牧師による影の内閣〟が教育省の予算を操っている」との報道を行っていた。
23日付エスタード紙報道によれば、教育省からの資金拠出と引き換えに、アリウトン牧師は1万5千レアルを自分の銀行口座に振込み、1キロの金塊を持ってくるように指示したと、マラニョン州ルイス・ドミンゲス市のジルベルト・ブラガ市長が告発している。
その後の報道ではジウマール、アリウトン両牧師がボルソナロ大統領に少なくとも4度面会したことも報じられている。出会いは2019年に始まり、21年2月10日には23の市長と合同の会合まで行われていた。
この報道の直後から、連邦政府は強い批判にさらされている。野党は早速、最高裁や国立会計監査院、連邦検察庁に対し、今回の件の捜査を求める動きを起こしている。リベイロ教育相は22日、声明で「大統領が誰かを優遇することなどない」と反論。録音された自身の発言を否定している。
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