《ブラジル》3年ぶり開催で大波乱のロラパルーザ=目玉出演者の急死、大統領抗議=観客の大半はマスクもせず

ロラパルーザ・ブラジルの模様(Wesley Allen)

 大型国際音楽フェスティバル「ロラパルーザ・ブラジル」が25〜27日、サンパウロ市で開かれた。今年は、トリで出演予定だった出演者急死や、会場内でのボルソナロ大統領批判が禁止されたこと、さらにパンデミックの最中なのに観客のほとんどがマスクをしなかったことなど、ハプニングや問題が噴き出し、週末の話題を独占した。26〜28日付現地紙、サイトが報じている。
 新型コロナのパンデミックで、2020、21年は中止となり、今年は2019年以来3年ぶりの開催となった。それまで毎年、延べ20万人以上を動員してきたこともあり、今年は25万人の動員が見込まれていた。
それだけの大人数が集まる中、コロナ対策が注目されたが、「マスク着用とワクチン接種証明提出」義務のうち、マスク着用義務が開催直前に外れた。そのため、1日5〜8万人とも言われる入場者中、マスク着用者は10人に1人もいないという状況が生まれた。
 「ステージ前方の鉄柵の異常でライブ一つがキャンセル」「バー・カウンターの一時機能停止」「突然の強いにわか雨」などのトラブルが続出。

 最大のトラブルは、初日終了後の深夜に入ってきた、27日のトリの予定のフー・ファイターズのドラマー、テイラー・ホーキンス急死の報だった。2012年の第1回のロラパルーザのトリも務めた人気バンドの中心メンバーの彼は25日、コロンビアのボゴタのホテルで薬物過剰摂取により世を去った。これで同バンドの27日の出演はなくなった。26、27日の出演者のライブではテイラーに対する追悼が相次いだ。
 26日以降の話題をさらったのはボルソナロ大統領だ。大統領の自由党(PL)は25日、ブラジル人歌手パブロ・ヴィッタルが行った大統領批判を選挙高裁に訴え、ロラパルーザでは政治的発言を行わないよう求めた。選挙高裁判事はこれを認める司法判断を下した。
 「フォーラ(やめろ)、ボルソナロ」「ヴァイ・トマ・ノ・ク(クソでも喰らえ)」はボルソナロ氏が大統領に就任した2019年にリオのカーニバルで使われ始め、同年のロラパルーザでも流行。3年後もそれは変わらず、26日も伯国バンドのフレズノがステージに「フォーラ・ボルソナロ」の大文字を映し出した。
 PLの訴えは「検閲にあたる」との声もあり、エジソン・ファキン選挙高裁長官は全体審理にかける意向だ。

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