西森ルイス連邦議員とブラジル日報協会の蛯原忠男理事長は10日午前10時から約1時間、ブラジリアの教育省でミルトン・リベイロ教育大臣と懇談し、日本の特定技能制度のブラジル導入に関する提案を行った。提案内容は教育省がブラジル日本協会(本部パラナ州、Instituto Brasil Japão =IBJ)を特定技能制度におけるブラジル側責任団体に指名し、日本側の受け入れ機関と協議しながら特定技能試験などを実施していく体制を築くというもの。特定技能制度導入が実現すれば、試験に合格した伯人は日系に限らず全て日本で技能実習を受けられることになる。
西森議員が同制度の概要を説明すると、大臣は「大変よいプロジェクトだ。今月中にぜひ進めたい」と答え、関係省幹部職員や大臣特別補佐官ら5人を部屋に呼び、制度導入実現のための作業を進めるよう指示した。
特定技能制度の前身である技能実習制度(1993年施行)は実習生の待遇が悪いと日本国内で多くの批判が出ていた。その反省を踏まえ、2019年に施行されたのが特定技能制度だ。
同制度の受験資格は、高卒以上の学歴、日本語能力試験N4以上を持っていること。試験は、日本政府機関が実施するもので、合格すれば日本で特定技能実習生として企業で働く資格が得られる。日本への渡航費用などは全て日本企業側が負担する。帰国後、日本で習得した技能を活かすことが期待される。
特定技能制度は実習先の業種などによって、1号と2号に分類される。1号は14の業種(①介護②ビルクリーニング③素形材産業④産業機械製造業⑤電気・電子情報関連産業⑥ 建設⑦造船・舶用工業⑧自動車整備⑨航空⑩宿泊⑪農業⑫漁業⑬飲食料品製造業⑭外食業)を対象とし、実習期間は3~5年で、日本人労働者と同等の報酬が得られる。家族の帯同は基本的に認められない。
2号は特定分野において熟練した技能を必要とする人材の確保を目的とし、在留できる期間は3年だが、更新に制限がないため実質的に永住が可能となる。対象業種は建設業と造船舶用工業。
制度導入は、ブラジル産業革新研究協会(EMBRAPII)が2年前から検討していた大学レベルの研究者を外国に送り出すプロジェクトと一緒に進めるとの合意も行われた。同協会は、研究機関や大学との連携を強化、ブラジル産業界の革新に貢献するため、効率よく質の高い研究開発を推進することを目的としている。
西森議員は29日に、今件や豚肉輸出解禁についての交渉をするために訪日する予定。それまでにIBJを責任団体として認可するライセンス発行することを申し合わせた。