《サンパウロ市》クラコランジアが移動?=近くの公園にテント増設=ドリア知事が撤去を指示

プリンセーザ・イザベル公園に出現した新たなクラコランジア(29日付G1サイトの記事の一部)

 サンパウロ市ルス地区にあった麻薬常習者の溜り場「クラコランジア」が数百メートル先の公園などに移動した事を受け、選挙出馬で離任直前のドリア知事が29日、テント撤去を指示したと23~25日、29~30日付現地紙、サイトが報じた。
 エルヴェチア、アラメダ・ジノ・ブエノ、アラメダ・クレヴェランドの各街とジュリオ・プレステス公園に囲まれたクラコランジアは、麻薬密売者の青空市的存在で、警察や市警備隊による摘発や警官と密売者、常習者同士の抗争も頻発し、市民も安心して歩けなかった。
 ところが18日の夜、密売者が常習者を率いて別の場所に移動させたため、麻薬を買い、吸う常習者達で溢れていた界隈がもぬけの殻となった。
 市警によると、これは、常習者や密売者を装った警官によるスパイ活動や昨年7月に始まったカロンテ作戦で92人の逮捕者が出た事を嫌った麻薬密売組織「州都第一コマンド(PCC)」が、常習者達を近くにある公園などに移動させた結果だという。

 常習者の移動先はプリンセーザ・イザベル公園やジュリオ・メスキッタ公園、パウリスタ大通りとレボウサス大通り間のトンネルなどで、プリンセーザ・イザベル公園には約3分の1が移った。
 市役所によると、クラコランジアでは1月に527人/日の常習者の動きがあったが、2月は397人/日に減少。これに拍車をかけたのが18日夜の動きだが、近隣住民は密売者達が戻って来る事を案じている。
 他方、市役所はプリンセーザ・イザベル公園では2月以降、テントが急増しており、常習者の移動が1カ月以上前から計画されていた事をつかんでいる。密売者や常習者の拡散は、市内の治安状況の変化も意味する。
 市長時代の17年にクラコランジア一掃作戦を実施し、クラコランジアは消滅と宣言した事もあるジョアン・ドリア・サンパウロ州知事は29日、ルス駅~サラ・サンパウロ間の通路開通式の中で、テントがある場所には密売者もいるとし、州保安局とサンパウロ市の市警備隊にプリンセーザ・イザベル公園のテント撤去を指示したと語った。同公園では25日も市警による麻薬密売の取締りが行われている。

最新記事