《ブラジル》インフルエンザの死者激増=収まるコロナの影で記録的増加=2カ月間で1719人死亡

昨年までは1~2月のインフルエンザの死者が100人以下だったのに今年は急に跳ね上がった様子を示すグラフ(4日付ポデール360サイトの記事の一部)

 コロナ禍の中、影が薄くなったり患者数が減った病気は多いが、昨年末から年頭にかけて感染者が急増したインフルエンザは1~2月だけで1719人が死亡した事が分かったと4日付伯字サイトが報じた。
 新型コロナ関連のデータも集計するSivep―Gripeによると、38度以上の熱、咳、息切れ、呼吸困難などの重症急性呼吸器症候群(SARS)で1~2月に死亡した人の内、1719人(1月1515人、2月204人)はインフルエンザが原因だ。また、死者の79%は高齢者が占めていたという。
 死亡率情報システム(SIM)によると、1月の死者は1996年の統計開始後の大半の年の年間総数を超えている。例外は2009年の1818人と2016年の1756人だけだから、今年は既に年間総数の新記録を更新中だ。
 1~2月のインフルエンザの感染者と死者急増は、豪州で最初に確認され、昨年12月からは国内でも症例が報告され始めたダーウィンと呼ばれるH3N2型ウイルスが主な原因とされている。
 インフルエンザウイルスはA型とB型があり、A型はさらにH3N2型とH1N1型に大別される。インフルエンザウイルスも変異と流行を繰り返しており、2001~2年に流行ったA香港型は1968年に見つかったH3N2型の亜種、2009年に流行したH1N1型は1977年に流行ったソ連型の亜種だ。
 伯国でのH3N2型流行は昨年11月末に発見されたオミクロン株による新型コロナの感染拡大と並行して起きたが、オミクロン株による感染拡大への注目度が高かった事と、従来型のH3N2型ウイルスを含むワクチンの接種で感染拡大が多少抑制された事で、早い時期に関心が薄れた。
 だが、オズワルド・クルス財団(Fiocruz)は3月25日に、2~3月の子供のSARSは0~4歳児が77%、5~11歳児が216%増えた事や、患者や死者の大半は新型コロナが原因だったがインフルエンザでも死者が出ていた事などを報告している。
 新型コロナの感染は減速傾向が続いているが、マスク着用義務が解除・緩和された自治体が増えた事やインフルエンザは寒さと共に勢いを増す事などから、専門家はインフルエンザの感染再燃を懸念。4日に始まったH3N2型とH1N1型、B型をあわせた予防接種キャンペーンへの積極的な参加とマスクの着用継続を呼びかけている。 

★2022年3月26日《ブラジル》新型コロナ感染減速続く=カーニバルや規制緩和後も=サンパウロ州では日曜日に並行接種
★2022年2月12日《ブラジル》妻がコロナ感染の元夫告発=10歳の娘にキスして意図的にうつす?
★2022年3月18日《サンパウロ州》閉鎖空間でのマスク義務解除=医療機関や公共交通機関は除く

最新記事