トヨタ・ド・ブラジルが5日、サンパウロ大都市圏サンベルナルド・ド・カンポ市の工場閉鎖と、同工場の機能をサンパウロ州内陸部のソロカバ、インダイアツーバ、ポルト・フェリースの3工場に移転する事を発表したと4、5日付現地紙、サイトが報じた。
同工場は、トヨタが日本以外の国に開設した工場第1号だ。1962年からの約40年間でバンデイランテスと呼ばれるジープを10万台以上製造した。現在はポルト・フェリース工場で製造するエンジン用部品を製造しており、アルゼンチンや米国にも輸出している。
ABC地区金属労組はこの発表に驚き、約550人の従業員が同工場に押しかけた。労組側は6日に総会を開き、工場閉鎖撤回を求めるための活動について話し合う。
同市のオルランド・モランド市長も5日に工場閉鎖を知らされ、方針撤回を求めて会社側との話し合いを持つ意向を表明した。同市では2019年にもフォード社が工場を閉鎖しており、工場跡地では輸送センターの建設が行われている。
トヨタ側によると、工場の閉鎖と移転は12月以降、段階的に行われ、23年11月に完了する予定だ。同工場で働いている従業員には、他の工場への配置換えを含め、全員に勤務先を斡旋する予定だという。工場跡地は、閉鎖・移転作業終了後に売却される。
同社によると、今回の決定は、国内外での競合性と生産性を高めて、持続可能性を強化すると共に、国際的な環境問題への意識の高まりにも対応するためのものだ。生産を他の3工場に集中させる事で、生産レベルや技能レベルを保ちつつ、設備稼働率を高める意向だという。
同社は、1998年にインダイアツーバ工場、2012年にソロカバ工場、2016年にポルト・フェリース工場の操業を開始。サンベルナルドにはその後、ラ米地区向けの調査センターを開設し、同地区内の需要に沿った商品開発や原材料の評価などを行うとの意向を表明していたが、20年には本社機能をソロカバに移している。
また、ここ数年間は、他の工場向けに20億レアルの投資を行った上、先週もインダイアツーバ工場で製造するセダン型カローラのモデル更新のために5千万レアルを投ずると発表していた。
労組側は、会社側は最近の交渉でも同工場でのプロジェクトがあると発言しており、今回の決定は不当だとしている。
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