ボルソナロ大統領は5日、「パウロ・グスターヴォ法」とも呼ばれる、コロナウイルスのパンデミックからの文化復興法案に対し、拒否権を行使した。この法案は文化事業に従事する人たちが38億6千万レアルの恩恵を受けられるようにするものだった。5、6日付現地紙、サイトが報じている。
同法案はパウロ・ロシャ上議(労働者党・PT)が提案し、昨年11月に上院で承認、下院でも2月に承認された。この法案では、パンデミックで映画や音楽の業界が被った損失の補償と復興金として27億9700万レアル、これらの企業への経済活動支援にも10億6500万レアルが充てられる予定だった。この法案は昨年5月にコロナ感染症で亡くなり、主演作がブラジル映画の興行記録を作るほどの人気だった国民的コメディアンにちなんで、「パウロ・グスターヴォ法」とも呼ばれていた。
だが、ボルソナロ大統領は5日、これに対し「国民の利益に反する」との理由で拒否権を行使した。
ブラジルの音楽、映画関係者は左派が大半で、極右のボルソナロ氏とはかねてから強く対立していた。3月末にサンパウロ市で行われた音楽フェスティバル「ロラパルーザ・ブラジル」では、出演者や観客からのボルソナロ氏批判が相次ぎ、大統領らが選挙高裁に批判表明を禁止するよう働きかけたことは記憶に新しい。