サンパウロ日伯援護協会(援協、税田パウロ清七会長)傘下のサンミゲル・アルカンジョ(以下SMA)病院は3月30日、国際協力機構(JICA)助成による病棟増築計画の完成除幕式を、サンパウロ州SMA市の同病院で行った。援協、病院関係者をはじめ、周辺地域有力者など約100人が一堂に会し、完成を祝した。増築により、ベッド数が計87床となり、今後、高齢者など長期療養患者を迎えることが可能になる。
援協によると、今回のJICAによるSMA病院拡張工事への助成金額は約425万レアルで、これまで50床だったベッド数は87床に増加した。4月半ばに25床が高齢者などを対象とした長期療養患者用の認可が下りる予定で、年内にさらい25床の申請を行い、計50床の長期療養患者用ベッドの実現を目指す考えだ。同助成で新型医療機器や最新のITシステムも導入する。
除幕式には、税田会長、菊地義治評議員会長をはじめとする援協役員、SMA病院の森エリオ運営委員長、在サンパウロ日本国総領事館の小室千帆首席領事、JICAブラジルの江口雅之所長、地元SMA市のパウロ・リカルド・ダ・シルバ市長らが出席した。
日伯両国歌斉唱、来賓紹介後に森運営委員長が開会の辞を述べ、助成金事業を行った日本政府へ感謝の意を示した。
引き続き挨拶に立ったパウロSMA市長は、2013年に同病院が開院したことによって人口3万7千人の同市が大きく発展したことについて言及。コロナ禍の影響でSMA病院も経済的に打撃を受けたが、日本政府からの助成とパートナーシップによりさらに発展していくことを期待した。
また、税田会長はJICAを通じた日本政府からの助成により、援協の8施設の改修・新設備購入ができたことに謝辞を述べた。JICAブラジル事務所の江口所長と在サンパウロ総領事館の小室首席領事は、新型コロナウイルス感染症対策としての助成金を有益に役立ててほしい旨の祝辞をそれぞれポルトガル語で語った。
税田会長から感謝状が江口所長と小室首席領事に手渡された後、来賓らに地元SMA市特産のシャインマスカット等の詰め合わせが贈答された。
菊地評議員会長が乾杯の音頭を取った後、増築完成記念プレートを除幕し、出席者で増床された施設内部を見学した。
同市近郊のコロニア・ピニャール(福井村)から参加した山下治さん(86、福井)は、「こんな良い病院はこの辺には他にない。先日も友人が木から落ちてケガをして、50日間ほど入院したが、SMA病院はSUS(統一医療保険制度)に対応しているので、入院費がかからなかった。SMA病院のおかげで何かあった時でも安心していられる」と話した。
元SMA病院建設委員で、コロニアピニャール文化協会の西川修治会長(73、福井)は「高齢者を長期で受け入れられる様になったので、他地域の人にもぜひ利用してほしい」と地元病院をアピールした。