《ブラジル》アウキミンとルーラの出馬組み合わせを正式発表=かつての宿敵が一致団結してボルソナロ打倒誓う

8日のルーラ氏とアウキミン氏(Twitter)

 8日、ブラジル社会党(PSB)はルーラ氏が同席する記者会見での席上で、10月の大統領選でジェラウド・アウキミン元サンパウロ州知事をルーラ元大統領(労働者党・PT)の副候補にすることを正式に発表した。かつての宿敵が仲間に変わった瞬間だ。8、9日付現地紙、サイトが報じている。
 サンパウロ市内のホテルでの発表会見は、アウキミン氏とルーラ氏、PSBのカルロス・シケイラ党首、PTのグレイシ・ホフマン党首の立会いの下で行われた。
 大統領を2期務めたルーラ氏と、サンパウロ州知事を計4期務めたアウキミン氏のシャッパ(連立名簿)は昨年12月頃から噂されていたが、この日でついに現実のものとなった。両氏は2006年の大統領選では決選投票も争っている。
 アウキミン氏は記者会見で、「我々は国を再建するために力を合わせようとしている。我々は、民主主義や諸機関を攻撃する政権と対峙している」「国民が苦しむのはもう十分だ。エゴで固まるのではなく、希望と熱意と愛とをもって、ブラジルのために働くべき時がきた」と語った。
 この発言からは、アウキミン氏がルーラ氏と組むことになったのは、ボルソナロ大統領打倒の点でルーラ氏と目的が一致したことをうかがわせる。アウキミン氏は2018年の大統領選のキャンペーンでも、徹底してボルソナロ氏を批判し続けた経緯がある。
 ルーラ氏も、「二つの異なったプロジェクトが一緒になって、国民の利益に反映されることはあり得る」として、アウキミンと共に組むことの意義を説明した。アウキミン氏はPTにとっては長年、最大の宿敵だった民主社会党(PSDB)に33年間在籍しており、今回のシャッパ成立を奇跡的だと見る向きも少なくなかった。
 ルーラ氏は「私は過去にアウキミン氏だけでなく、ジョゼ・セーラ氏や、カルドーゾ元大統領とも戦ったが、PSDBの支持者を無視したりしたことはなかった」と強調した。アウキミン氏も「今はエゴを言い張る時ではない」として、団結することの大切さを主張している。
 ルーラ氏は政策に関して、「大企業や農場主、土地のない人に至るまで、すべての社会と対話していきたい」「すべての人の声に応えたいが、まずは最も助けが必要な人たちを優先したい」と、自らのモットーを宣言。その一方で、ボルソナロ政権の経済政策やコロナ対策に関する批判も行った。アウキミン氏も、「雇用や所得が回復するよう、ルーラ氏を手助けし、現在瀕している、本来ならありえないような飢餓を撲滅するよう努めたい」と語った。
 ルーラ氏とアウキミン氏のシャッパは4月30日に正式に届け出を行う見込みだ。
 ボルソナロ大統領は8日、ツイッター上でルーラ氏がアウキミン氏と写った写真を拡散し、「笑」を意味するネット上の隠語「Kkkkkk」で答えた。
 ボルソナロ氏はIpespiの最新の世論調査(セルジオ・モロ氏が出馬しないという条件下)での支持率を30%に上げたが、ルーラ氏の44%には及んでいない。

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